そんな“逃げない”姿勢は実がみね子に家の経済事情を話して聞かす印象的なシーン(4月7日放送)にも。

「農家である谷田部家の収入や支出がどうなっているかということは、うやむやにしようと思えばできちゃうんです。でも、あえて具体的な数字を出し、みね子の給料の使い道であるとか、仕送りの額も何とか伝えたいと思って。そういうときに増田(明美)さんの語りがあると、本当に便利なんです(笑)。

 増田さんは、ドラマの中にいる妖精みたいな感じですかね。“どっから見てるんだ”っていう(笑)。増田さんの声の気持ちよさとか、どんなことを書いても真剣に取り組んでいただけるのも魅力です。僕が書いていないナレーションもあるので、演出部が楽しんでいたんじゃないでしょうか(笑)」

「いつか続きを書きたい」

ドラマ『ひよっこ』より(C)NHK
ドラマ『ひよっこ』より(C)NHK
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 登場人物みんなが愛すべきキャラクターで、誰ひとりとして悪人がいない。

 ある意味“ユートピア”のようにも見える『ひよっこ』の世界。

「敵がいるとドラマは動くんですけど、敵がいなくなると解決するので……。たぶん人生って、敵がいようがいまいが、基本ままならないものだし、自分の人生経験からも、何かがうまくいかなかったことが、他人のせいであったことがあんまりないなって。

 これまでドラマみたいな敵役の人には会ったことがないし、僕をうまくいかせないためだけに生きている人はいなかったし(笑)、人間を一面的に描くことはしたくなかったんです。なので唯一、救えなかった登場人物は(実からお金を盗んだ)ひったくりの人くらいかな(笑)」

 約半年間、私たちを魅了し続けてくれた『ひよっこ』の最終回は9月30日(土)。気になるラストは?

「大きな出来事はないけど、最終的にはみんな少しは幸せになっているというふうに思います。また、ドラマは終わりますが、登場人物たちの人生はこれからも続いていくので、そこを想像して応援してあげてほしいなと思います。作中で4年しかたたなかったっていうのが若干、心残りではあるので、いつか『ひよっこ』の続きを書きたいな~って思っています(笑)」