これまでの人生の中でいちばん飲んだのも日本でした。知り合いの剣道の先生と一緒に飲んでいたとき、この「差しつ差されつ」という言葉を覚えたのですが、とてもお酒が強い方で、いつまでたっても終わりませんでした。
最後はお店の日本酒がなくなってしまって、その会は終わりました。あまりにたくさん飲んだので、どうやって帰ったのか覚えていないほどでしたが、「差しつ差されつ」という言葉はしっかり覚えていました。
ここで思い出すのがテレビ東京のドラマ「釣りバカ日誌」です。このドラマには日本のサラリーマンの飲み会シーンがたくさん登場します。
飲酒シーンで垣間見た「本音と建前」
中でも覚えているのが、釣りの後に、社長のスーさん(西田敏行)と、係長の朝本さん(武田鉄矢)が居酒屋でお酒を飲むシーンです。2人とも表面上では静かにお酒を差しつ差されつしていましたが、内心はお互いのことを快く思っていなくて、かなり険悪なムード。
そのうち彼らの分身(生き霊)が出てきてけんかをし始めて、ついには最後にスーさんが爆発してしまいます。日本人の「本音と建前」が見られる名シーンです。でもお酒が入らないと、なかなか本音を言えない雰囲気が日本にはありますよね。外国人から見たら本当に大変だなと思います。
そして、3つ目の特徴は「締めのラーメン」文化です。
多くの日本人はお酒を飲んだ後、ラーメンを食べにいきますよね? これは外国人から見ると不思議な習慣です。私の夫がこのタイプの日本人なので、私も飲み会のあとにインスタントラーメンを作らされることがあります。ギリシャではインスタントラーメンがけっこう高いので少し困ります。
なぜ、日本人はここまでラーメンに愛着を持つのか。その答えを、以前、アテネで開かれた日本映画祭で『ラーメン侍』に見た気がしました。映画の冒頭で、スープを煮すぎてしまった従業員に対して、店主が鉄拳制裁を加えるシーンがありますが、店主のラーメン作りに対する意気込みが伝わってきます。
その後、この殴られた従業員の青年は店を辞めてしまうのですが、結局最後には思い直してお店に戻ってきます。