スペシャルQ&A【中川晃教編】

――加藤さんには言ってないけど、感謝していることは?

中川 共演したミュージカル『フランケンシュタイン』は友情がすごく大きなテーマになっていて。友情ってなかなかすぐに生み出されるものじゃないんですよね。やっぱり公私ともに尊敬し合っていたり、「普段何やってるの?」とか何気ない会話でお互いを知り合う時間が、実は芝居にもつながっていく。そういうところから生まれてくるものの大切さを、稽古期間に彼と向き合う中で改めて教えてもらいました。短い期間だけどそういう段階があって、一緒に組んだ瞬間に距離を感じさせないでくれたので、感謝してます。

 もうひとつ、名古屋公演のときに、和樹マンがわざわざ東京からハヤシライスを作ってジャーに入れて持ってきてくれたんですよ。東京公演中にも作ってきてくれたことがあったんですけど、たまたま僕が食べられなくて。それを気にして作ってくれたっていう。すごくおいしかったです。

――加藤さんに直してほしいところは?

中川 全然ないです。強いていうならば、『フランケンシュタイン』で僕が演じるジャックは怪物(加藤)を痛めつけるんですよ。リードで繋いだりムチで打ったりとか、調教するようなシーンがたくさんあって。かなり身体を酷使するんですね。殴られて360度回転したりとか。それで身体がバッキバキになってたはずなんです。でも、痛みとかを一切顔に出さないから、和樹マンは鍛えているし、我慢強いんだろうなと思ってたんですよ。そうしたら、他の人から「かなり身体が辛かった」って言ってたと聞いて。そういうのを見せないところは俺は好きですけど、仕事を長く続けていくためにもあんまり無理はしないでねと。

――スマホの今の待ち受け画面は?

中川 もともと入ってるやつで、夜景です。でもいいでしょ?(笑) 自分で設定を替えたりとかは全くしないです。アップデートすると待ち受け画面も勝手に変わったりするから、“あっ、変わってる! この月の景色いいね”みたいな(笑)。台湾に行ったときに自分で撮った石畳のレンガの写真がいいなと思って待ち受けにしたことはありましたけど、かなり前ですね。

中川晃教 撮影/廣瀬靖士
中川晃教 撮影/廣瀬靖士
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――あなたにとって愛とは何ですか?

中川 18歳で仙台から上京して、ずっと一人で暮らしてきたんですけど、31歳のとき当時82歳の、母方の祖母と2人で住むことになったんです。亡くなるまでの2年8か月、一緒に生活する中で、親との会話では心配させないように気を使っていたことも、仕事の話題でも何も気を使わずに話せるようになって。祖母の聞き方がうまかったのかもしれないけど、なんか見えないものに抱かれているような安心感が得られて、特別なものを感じたんですよね、それが愛だなと感じたことがありました。

――中川さんのトリセツを教えてください!

中川 僕はすごくせっかちです。で、すごく相手を尊重するか、まったく相手を尊重しないかのどっちかです。それはたぶん、いろんな状況によるんですけど(笑)。やっぱり自分はこうだというスイッチが入ったときの自分と、自分のスイッチうんぬんじゃなくて相手のスイッチに合わせようとなることがあって。この両方のバランスが自分の中でとれることが、こういう仕事を続けていくときに大切なことの1つかなって思うんですよね。それで相手を信頼できていたら、もう“あうん”の呼吸が生まれることを大切にしたいんで。その呼吸を作るために相手をよく知る、見るっていうことをしますね。

――中川さんの中でロマンチストな部分があったら教えてください!

中川 ロマンチストだよねって言われることはありますね。それは僕が書く歌詞を読んで「すごいロマンチストな感じだね」とか言われたりするんですけど。確かに曲を書くっていうのは一番ロマンチストってことに近いかもしれないですね。1つの曲を生み出す過程の中で、フレッシュな瞬間の記憶から、過去の記憶から、いろんなものを自分の中でふわっと音楽に封じ込める瞬間があって。その思い出したりしているときに、夢想家……ロマンチストになってるのかもしれないなって、いま自分で思いました。