一方、離党ドミノから起死回生の“新党合流”を夢見た民進党議員・元議員は『希望の党合流組』『無所属組』『立憲民主党組』に3分裂した。
主役に躍り出たのは枝野幸男・元官房長官(53)だ。
枝野氏は2日、都内で立憲民主党の立ち上げ会見を開き、「この総選挙で安倍政権の暴走に歯止めをかける」などと決意表明した。
「残念ながら希望の党の理念や政策は、私たちが積み重ねて目指してきた方向性とは異なるものだと判断せざるをえません。政治家にとって理念や政策は譲ってはならない筋。私たちの理念や方向性について期待して見守ってくれたみなさんに選択肢がない状況になっています。政策をさらにブラッシュアップしながら国民のみなさんの声を受け止めたい」(枝野氏)
記者団から、前原誠司代表(55)が小池氏に騙されたとする見方や、前原氏が確信犯的に民進党内を騙したとする見方があることについてどう思うかという質問があった。
枝野氏は、「私はそれについてコメントできる立場だと思っておりません。ただ、こういう結果になったことは大変残念に思っております」と恨みごとを口にしなかった。
前出の政治部記者は、
「枝野氏の愚直な政治姿勢は一定の共感を集めている。希望の党の改憲や安保法制へのスタンスは安倍政権と変わりなく、政策的に自民党VS枝野新党の選挙戦になることを期待する声は大きくなっている」
と指摘する。
前原代表は党分裂について、
「すべて想定内だ。自分の判断は正しかったと思っている」と述べている。
政権選択を実現する二大政党制はどのようなかたちに収まるのが望ましいのか。
日本大学法学部の岩井奉信教授(日本政治論)は「それこそ有権者の判断に委ねられる」として次のように話す。
「例えば、アメリカは保守と保守の二大政党です。イギリスも保守か革新かではなくなってきている。時代とともに争点は変わってきているといえます。希望の党と立憲民主党に政策面で分かれたのは有権者にはわかりやすいでしょう。
しかし、選挙後の勢力図がどうなるかはわかりません。候補者に表と裏がありそうなことも気にかかる。所属する政党の政策と、これまでの政治活動が合致しているか、選挙戦を通じて細かくチェックする必要があります。自分の判断基準を定めておいたほうがいいでしょう」
政治に何を求めるか。投票日を迎える前に考えたい。