セカンドオピニオンにまつわるQ&A
セカンドオピニオンは理解できたけれど、ちょっとした病気でも利用していいのか、病院や医師をどう探すのか、そして気になるお金のこと……。そんな素朴な疑問に答えます!
Q1. 病気の情報をネットで取り入れてよい?
A. ネットで直接、医師に治療法の相談をできるサイトもある。「ネットでの書き込みだと患者の状況を細かく知ることができず、医師も一般的なアドバイスになりがち。鵜呑みにするのではなく、ひとつの情報として参考にするには有効。自分の考えをまとめて医師に質問する練習にもなります」
Q2. 治療の知識や医師の情報、どうやって入手するの?
A. 「同じ病気の人から得る情報がいちばん頼りになります」。友人知人に同じ病気の人がいれば相談を。「病院や地域に『患者会』や『家族会』などがあるので参加してみるのがおすすめ。“この先生からこんな治療を受けた”といった生の情報が得られ、セカンドオピニオン先を決める参考にも」
Q3. セカンドオピニオンにかかる費用はどこも同じ?
A. セカンドオピニオンは保険適用外。「各病院で自由に金額を設定することができるので幅があり、1万円から5万円ほど。相談時間30分で2万~3万円が平均。時間を超えると加算されるところがほとんど。教授や医長など役職や肩書によって金額に差をつけている病院もあります」
Q4. 歯の治療でセカンドオピニオンする人、いるの?
A. 「歯科でもセカンドオピニオンを行っているところはあり、抜歯やインプラントをすすめられた場合などに利用する人はいます。ただ、2万〜3万円かけてセカンドオピニオンを求める必要があるかどうかは個人の判断」。歯科医の治療に不満があるなら、ほかの歯科に変えるほうが早いかも。
Q5. 著名な医師をセカンド医師に指名していい?
A. その有名医師がセカンドオピニオンを受けつけていることが大前提。そのうえで「医師には専門分野がありますから、あなたの治療に合うなら、主治医に紹介状を頼むのは自由です。でも、人気医師だと予約がすぐ取れず、その間に病気が進行するリスクがあります。病状にもよりますね」
Q6. サードオピニオンを求めることもできるの?
A. 「できます。ただし、なぜ第3の意見が聞きたいのか、明確な理由がないならおすすめしません。そのぶん、治療が遅れてしまいますから。たしかに治療法の選択肢が多い病気もあるので、“この方法の可能性も探りたい”と自分の中に明確な目的があれば検討してもいいでしょう」
Q7. 風邪程度ならセカンドオピニオンは必要ない?
A. 費用も手間もかかるセカンドオピニオンは、命にかかわる重大な病気に利用されることが多い。「風邪には必要ないですが、長引く場合はほかの病気の疑いが。“3か月も咳が止まらないので大きな病院で診てもらいたい”と主治医に伝えて紹介状を書いてもらうことをおすすめします」
セカンドオピニオンに対する不安は払拭できただろうか?
「セカンドオピニオンや、医師が患者に説明をして理解を得るインフォームドコンセントの普及によって、患者中心の医療に変わりつつあります」(植田さん、以下同)
それは患者にとって喜ばしいことだけど、裏を返せば“患者も勉強して考えなさいということでもある。
「医師や治療を患者が選べる時代になってきた。でも選択肢が広がったことで、“手術はイヤ”“もっと優しい先生がいい”と病院を転々とするドクターショッピングを繰り返す人もいます。その間に病気が進行して手遅れになることも。
そうならないためには、自分にとってどんな治療がいいのか考え、医師に何を求め、何を聞きたいのかを明確にすることが大事。選ぶ自由を得たかわりに患者も賢くならないといけないのです」
自分の身体なのだから、主体性をもって、前向きに治療を選択していきたいものだ。
<教えてくれた人>
医学ジャーナリスト・植田美津恵さん◎医学博士。専門学校・首都医校教授、愛知医科大学医学部・客員研究員。専門は医療制度、公衆衛生学など。医学番組の監修、テレビコメンテーター、講演活動も行っている。