以来、うぐいす嬢として応援した候補者数は地方選挙から国政選挙まで280名を超える。その間、さまざまな候補者・政治家の素顔に触れてきた。中でも印象に残るのは、2015年に政界を引退した橋下徹・元維新の会代表だ。
「橋下さんはとにかくタフで、ものすごく強い人。17日間も選挙をすると、休まなければやっていけない。当時は大人気でもみくちゃにされていたんですけれど、休みたいなんて言葉、1回も聞いたことありません。常に礼儀正しくて、腰が低くて。選挙カーが入って最終日に初めて、“ちょっとだけお茶だけ飲ませてください”。あんな方、ほかにいません」
緑の勝負カラーが印象的なあの候補には、直で接したことはないとことわりながらも、
「感情が顔に出ない人ですよね。政界の女性は、男性よりずっとタフですよ」
目標を達成したり法案を通すためには、有力男性議員を持ち上げて、いい気持ちにさせて転がす程度は政界の女性なら朝飯前。話題のあの人も、自分自身の“希望”のためなら、おそらく手段は選ばないと語るのだ。
いずれにせよ、どの政治家も海千山千の猛者ばかり。応援するうぐいす嬢も、並の根性では務まらない。
「山陰某県の選挙では、ホテルを経営しているという候補者から、“今日はわしのホテルに泊まってもらう”と」
そう言われ、当時まだ20代だった幸慶さんが候補者の車に乗り込んだ。車はどんどんと山の中へと入っていき、周囲はとうとう真っ暗闇に。
不安がつのる幸慶さんの目に、突如として宮殿みたいなホテルが現れた。ホテルに入ると、そこには昭和の香り満点の回転ベッドと、実にあやしげなお風呂が……。候補者は老舗旅館とともに、ラブホの経営者。このラブホが、選挙期間中の宿だったのだ。