2000年〜現在、クイズ番組は不滅のコンテンツ

イラスト/イケウチリリー
イラスト/イケウチリリー
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 2000年代に入ってからは『クイズ$ミリオネア』(’00~’07年/フジテレビ系)が人気を集める。司会のみのもんたが解答者に詰め寄る「ファイナルアンサー?」の言葉は流行語にもなった。知識を競うクイズの対極というべき「おバカタレント」ブームを巻き起こしたのが、’02年から始まった島田紳助司会『クイズ!ヘキサゴンII』(’05~’11年/フジテレビ系)だ。

出演者にキャラづけすることを先鋭化させたのが島田紳助さん。多くの人が参加する『オールスター感謝祭』(’91年~放送中/TBS系)での仕切り、『ヘキサゴンII』でのおバカブームや歌手ユニットなど、見る人を飽きさせない工夫をしました。芸人がクイズ番組の司会を務める先鞭もつけた。今もその流れは変わっていません」(木村さん)

 一般視聴者が参加できる番組の減少以降、クイズ愛好家の受け皿としてCSのファミリー劇場で『Knock Out~競技クイズ日本一決定戦~』がスタートしたように今後は視聴者層の年齢が比較的高いBSやCS、さらにはAbemaTVなどネット配信の番組へ、クイズ番組の放送・制作のシフトが予想される。

今なぜクイズ番組が多いのか?

「テレビ局はスポンサーから資金を集めるシステムを変えること、リアルタイム視聴率をやめないとダメですね。今は番組のクレームをテレビ局ではなく、直接スポンサーに入れてしまう時代ですから。そう考えると、ネット配信の番組が受け皿になっていく可能性は高いでしょう」(木村さん)

 ここ最近増えていると指摘されるクイズ番組。それには、地上波テレビ局の苦しい台所事情などがあるんだとか。

クイズ番組にかかる費用はクイズ作家と出演者のキャスティング代。コストがあまりかからず、クイズに答えなくてもひな壇にいれば映るし、ギャラの安い人でも数多く出演させれば画面を賑やかに見せられ、セットも豪華でなくてもいい、リハーサルは最小でOK、それでいてクレームも炎上も少ない、というセーフティーなコンテンツなんです。

 テレビ局としてもクイズ番組は数字もある程度とれるので、予算がない今は別の企画を出せないという悪循環に陥っています。しかも深夜や休日の午後に実験的な番組を作って人気が出たらゴールデンへという、番組を育てるうえでの種まきもできていない危機的状況です」(木村さん)

 今後、クイズ番組はどうなっていくのか? 大門さんはこう考えを述べる。

「’60~’70年代にクイズ番組を見ていた人が祖父母世代、そして’70~’90年代の人が親世代、現在『東大王』(’17年~放送中/TBS系)に出演する水上颯くんや伊沢拓司くんたちが子世代と、クイズ番組は“3世代のコンテンツ”になりました。

 水上くんたちの世代は『クイズ!ヘキサゴンII』などを見て育ち、“クイズをやってみたい”とクイズ研究会に入り、『高校生クイズ』にも出場しています。

 こうして連綿と続いてきた歴史が、今のクイズブームを作っていると言っていいでしょう。しかも東大生のうえイケメンでクール、といったようなキャラもあるから、彼らの存在はクイズ番組にとっては救世主。

 現在、『クイズプレゼンバラエティーQさま!!』(’04年~放送中/テレビ朝日系)など、活躍のフィールドを広げています。クイズというのは知識に結びつくものなので、子どもの学習能力を上げるには最適なもの。今後もクイズ番組はなくならないと思います」

 木村さんは、「『Qさま!!』のように、番組の内容は時代ごとに変えていくが、番組名は変えないということが大事になっていくと思う。新しい番組やブランドが定着するのは大変なことなので、これからそういう番組が増えるかもしれない」と語り、また、こうも予測する。

「今の若い人たちはスマホをいじったりして、長時間テレビを見ない子も多い。なので、昔のように30分や15分、または帯番組といった短いクイズ番組をやるという選択肢もありかもしれませんね」(木村さん)

【2000年以降にスタートした主なクイズ番組】
■クイズ$ミリオネア(’00年~’07年/フジテレビ系)
司会のみのもんたの“ファイナルアンサー”は流行語に。当初は一般参加者のみだった
■クイズ!ヘキサゴンII(’05年~’11年/フジテレビ系)
島田紳助の司会で上地雄輔や里田まいらが“おバカタレント”として大ブレイク!
■クイズ☆タレント名鑑(’10年~’12年/TBS系)
有名人たちにまつわるさまざまなクイズを出題。時には放送できないゲス解答も
■脳内エステIQサプリ(’04年~’09年/フジテレビ系)
ひらめきと発想の転換が必要で、解答者は問題が“スッキリ”か“モヤッと”か判定を
■密室謎解きバラエティー 脱出ゲームDERO!(’09年~’11年/日本テレビ系)
セットに作られた仕掛けや障害から脱出する、クイズ・ゲームバラエティー番組
■今すぐ使える豆知識 クイズ雑学王(’07年~’11年/テレビ朝日系)
爆笑問題が司会の解答者が雑学王を競う番組。’10年からは深夜で『雑学王』として放送

<教えてくれた人>
木村隆志さん◎コラムニスト、コンサルタント、テレビ・ドラマ・芸能解説者。『東洋経済』などで連載

大門弘樹さん◎雑誌『QUIZ JAPAN』編集長。『日本クイズ協会』の理事も務めている