自動ブレーキやペダル踏み間違え時加速制御装置などが搭載された車、いわゆる『サポカー(=安全運転サポートカー)』の試乗では、思いっきりアクセルを踏み込んでも、前方に障害物を検知すれば、急発進を抑制するシステムを体験。歓声があがった。「40年無事故、無違反」と胸を張る渡部俊司さん(78)は講座を終え、満足げな表情。
「楽しかったですよ。少しでも長く乗りたいから、ブレーキのことや運転姿勢のことも直していかないといけないと思いました。まともな運転を続けるためにね」
買い物や農作業に出かけるのに車が必須だと話す加藤佐智枝さん(73)は、
「家族からは“危ないからそろそろやめたら?”としょっちゅう言われます。そのたび“もうちょっと”と返事をしています。車がないと不便だし、25歳からずっと乗ってきましたから」
と肩をすくめてみせた。同イベントがスタートしたのは昨年。ダイハツの担当者が全国の販売店と自治体を回り、話を持ちかけた。プロジェクトに賛同したのは三重県、広島県、静岡県、和歌山県などの8市町村。来年は25市町村を超える参加が見込まれ、2020年までの全国展開を目指す。
ダイハツ広島販売株式会社の大石弘之社長は言う。
「今は警察が『サポカー』試乗会をどんどんやり始めています。でも、いくら安全支援システムが搭載されていても、そもそも運転する体力がないとか、足がうまく使えないとなれば、その段階で娘や息子から“免許を返そう”と言われてしまう。ただ、地方には車がないと生活が成り立たない地域がたくさんある。車に乗り続けたいという思いをお助けするのは、これからの自動車屋の役目だと思っています」
現在の高齢者は、マイカーで自由に移動できる楽しみを最初に享受した世代。ドライブに生きがいを見いだす人も少なくない。
一部海外で実施されている、車両や地域を限定した『条件付き限定免許』の導入など、今、国もあらゆる対策を模索している。免許返納の前に何かできることはないのか。今1度、家族で話し合ってみてほしい。
運転を見守る「あんしん運転Ever Drive」
急ブレーキや急加速などの危険運転、2時間以上の長時間ドライブなどの情報を家族にメールで知らせる見守りサービス。車の助手席前にある収納BOXの裏に専用装置を取りつけるだけで、現在地や速度、目的地到着の通知が受け取れる。また、危険な運転をした場所や走行ルートを地図上に記録。いつも急ブレーキを踏む場所はどこなのか、自宅周辺の危険マップも作成され、高齢ドライバー自らが運転を客観視するきっかけにも。月額2980円(税別)。運営元=オリックス自動車株式会社
急発進を防止するペダルの見張り番
アクセルとブレーキの踏み間違いによる誤発進を防止する装置。国産車約180車種に取りつけが可能で、クルマを買い替える必要がない。オートバックス標準価格39999円(本体、取付部品、取付工賃込み・税別)