番組誕生の背景

 この『THE W』という大会が誕生した理由はどんなところにあるだろうか。あるテレビ関係者は言う。

「テレ朝で『M-1グランプリ』が復活、『R-1ぐらんぷり』と『THE MANZAI』はフジ、『キングオブコント』がTBSと、民放キー局がそれぞれ芸人No. 1を決めるコンテンツを持っている中、日テレだけが持っていませんでした」

 女芸人に限定した理由は、他のコンテストとの差別化に加え、

「『行列のできる法律相談所』、『踊る!さんま御殿!!』に『今夜くらべてみました』など、日テレはトークでその人の魅力を引き出していくスタイルの番組が多いです。

『世界の果てまでイッテQ!』あたりも含めて、特に女性ウケのいい女芸人やバラエティタレントが欲しいので、そういった番組に向けての役割もあると思います」(前出・テレビ局関係者)

『THE W』の副賞は、「視聴率100%券」。これは、日テレの人気番組の中から、視聴率が合計100%になるまで好きな番組を選んで出演できるものだったも、そういうねらいがあってのものなのかもしれない。

 少し前までは、森三中のような身体を張るスタイルや、ハリセンボンのように見た目いじりをするような笑いを取る女芸人が人気だった。が、近年の女芸人の傾向は時代とともに変わってきている。

「渡辺直美さんやブルゾンちえみさんなど、同性にかっこいいと思われたりする女芸人が増えていることは確かですね。今は、差別にならないようなことでも差別と指摘されることもあり、テレビ界全体が、あまり身体を張らせない流れになっているところもあります」(前出・テレビ局関係者)

 今後、『THE W』は、先行するお笑いコンテストのような存在に成長していくだろうか。前出の放送作家は「意外に苦労するのでは」と続ける。

「触れ込みとしては、最も面白い女芸人を決めるというものでしたが、審査も含めて、本格的な大会というよりも、売れてる芸人にとってはネタ見せ番組的な色合いが強いものになっていました。

 これから売れたいと思っていたり、きっかけをつかみたいという芸人にとっては、効果のある番組だったと思います」

 13.1%という高視聴率を記録し、上々の幕開けとなった『THE W』。参加した女芸人の活躍とともに、2回目以降、成長できるコンテストになっていくだろうか。

<取材・文/渋谷恭太郎>