'18年5月公開の映画『モリのいる場所』で樹木希林が演じるのは、晩年、家から出ずに虫や花の絵を描き続けた画家の熊谷守一を支えた妻の役だ。
来年はほかにも準主役を務めた映画が数本公開予定で、現在は新作の撮影中と、まさに売れっ子。パワフルな活躍ぶりだが、製作スタッフたちは、ある志を持って撮影にあたっていた。
「“樹木さんの遺作を僕らで撮ろう。絶対にいい作品にしよう”と意気込んでいました。樹木さんが以前から冗談めいて“もう私も長くないものですから……”と言っていたのを、製作陣は重く受け止めていました」(映画製作会社関係者)
ここ数年で公開されたほかの映画のスタッフたちも、どうやら同じ気持ちだったらしい。
「'15年公開の『あん』で樹木さんの孫・内田伽羅さんを起用したのも、“お孫さんとフィルムに映る姿を残したい”という製作陣の思いがあったから。'16年の『海よりもまだ深く』では、“樹木さんの遺作を”ということで、カンヌ映画祭の審査員賞受賞作品『そして父になる』の是枝裕和監督とスタッフが彼女のために再結集しました」(映画配給会社関係者)
樹木は、'13年には身体のさまざまな部位にがんが発生するため“全身がん”という状態であることを明かした。しかし、その後の演技は病気をまったく感じさせない。
「樹木さんは“元気に見えるのは瞬間芸”と言っています。映画のパーティーで“自慢の息子”本木雅弘さんが腕を組んでエスコートしたときは、ハツラツとして見えました」(同・映画配給会社関係者)
女優・樹木希林は、現場でこそキラキラ輝くのだ。
「撮影ではとにかくお元気なので、最近では“本当にこれが遺作になるのかな?”と思うようになってきちゃいました」(同・映画配給会社関係者)
本人に現在の体調について聞いてみると、
「私が治療を受けた『UMSオンコロジークリニック』(鹿児島県)の植松先生から、全治はありえないと言われております。
ですので、今現在、治っているというワケではないです。病院が遠いので、今年はまだ1度も行けてないのです。行くとまた、がんが見つかってしまうものですから」
これからも、がん患者の希望として、“遺作”を作り続けてもらいたい。