「アメリカ(カリフォルニア州)では、卵子提供者が出生証明書に母親として記載されることがあります。日本の場合は、あくまでも産んだ人(代理母)に親権がある。それをわが子として迎え入れるには養子縁組しかないんです」
'07年に出された向井の最高裁判決から10年ほどたつが、いまだに日本には代理母出産について定めた法律は存在しない。なので、国内でも代理母出産は違法ではないのだが、日本産科婦人科学会などは原則、認めていない。そのため、子どもは実子として認められないのが現状だ。それでも代理母出産は、
「“絶対に自分の子どもが欲しい”と思っている方々の唯一のよりどころなんです」
と話すのは、卵子提供・代理出産エージェンシー『リプロダクションパートナーズ』でコーディネーターとして活躍する石原隆雄氏だ。
「当社ではアメリカ・カリフォルニア州にあるクリニックと提携し、現地のエージェントを通してサロゲートマザー(代理母)との仲介を行っております。
現地では契約の際にご夫婦側にも、代理母側にもアメリカの弁護士がついて個別に詳細な契約書を作成しますので、契約上は安心です。特別養子縁組をすれば、戸籍上の記載も実子と変わらず、生まれた子どもが見てもわかりません。リスクがあるとすれば、“おなかが大きくなかったのに突然、生まれた”とウワサになってしまうことくらいでしょうか」
ちなみに、丸岡が代理母出産したロシアでは、費用は1000万円ほどといわれている。このエージェントが提携するアメリカの場合、1800万円〜2000万円ほど。そのため、数年前までは、アメリカの4分の1程度の費用ですむアジア圏が人気だった。