その一方で、羽生の団体戦回避の報道が2月3日に流れると、ケガの回復状況が思わしくないのではないかという憶測が流れ、“団体戦回避=金メダル絶望”という空気が流れた。なぜそのようになったかというと、スケート連盟の対応に、羽生サイドが嫌気がさしていたからだ。
鉄のカーテンが引かれた
「実は、今回の団体戦欠場に関しては、12月下旬の段階で すでに決まっていたようです。羽生選手サイドが連盟側に“前回のソチ五輪と同じく団体戦のSPで復帰したい”と打診するも、認めてもらえなかったんです。ソチではSPが羽生選手でフリーは町田樹選手だった。負担の少ないSPでジャッジへの心象がよくなる面も。
優勝候補の一角でもある宇野昌磨選手への配慮もあり、即答を避けたんじゃないでしょうか。その連盟の優柔不断さが、羽生サイドにとっては“拒否”されたと思ったのかもしれません。その件が火種となったまま。両者には溝ができてしまったんです」(スポーツ紙記者)
スケート連盟の橋本聖子会長は「全面的にバックアップする」と明言していただけに、羽生サイドが不信感を募らせてもおかしくはない。
「それ以降、鉄のカーテンが引かれ、いっさいの取材をさせなかった。連盟のサポート体制は不安ばかりですよ。五輪で初めて導入した『映像転送システム』にしても、“新兵器”でも何でもない。いまや動画だけでなく、助走スピードやジャンプの角度などの数値だって瞬時に解析できるようなシステムをほかのスポーツ界では導入しています。遅すぎるくらいですよ(苦笑)」(同・スポーツ紙記者)
一抹の不安が残る連盟の対応ぶりだが、最後にメダルをめぐる展望を佐野氏が語る。
「金メダル候補は、羽生、ネイサン・チェン、そして宇野の3人でしょう。ただし、これだけ多種類の4回転ジャンプを跳ぶようになっても、羽生クンが'15年にマークした330点は超えられていない。
ネイサンは'18年全米選手権で315・23点を記録し、宇野クンも今季初戦のロンバルディア杯で319・84点でしたが、オリンピックは特別な舞台です。そこでミスした人が負ける。その点、羽生クンは大舞台での勝ち方を知っており、連覇してくれるのではないでしょうか」
絶対王者として君臨し続けた羽生。逆境を跳ねのけ、レジェンドになる日はすぐそこまで迫っている。