「町内会をやめます」
市職員に対応したのは、長男だったという。
「“父親はいません”とのことでしたので、受け取りを辞退されたというふうに、こちらは受け取りました」(前出・同市介護高齢課の担当者)
市職員が訪問する前、町内会の担当者あてに“町内に敬老金がもらえる人がこれだけいるので調査してください”という連絡があったという。
「1軒1軒回って、受け取りの意思を聞くんです。小池さんの家は何度インターホンを押しても反応がない。夜も明かりがついていない。結局、家の人にも会えなかったので、市には“わかりませんでした”と伝えました」(町内会の男性)
約10年前、小池容疑者は町内会の役員に連絡し、“年をとったので町内会をやめます”と伝えた。もともと、隣近所の付き合いがないうえに、町内会からも離れた小池家は丸ごと気配を消すようになったという。
「夜も電気がともらないことが多く、誰も住んでいないとずっと思っていたくらいです。今は家の外観が見えますけど、昔はもっと木が生い茂っていて、よく見えなかったんです」(前出・町内会の男性)
自首した際、小池容疑者は長男と2人暮らし。前出・近隣住民が再び口を開く。
「そもそもあの人(小池容疑者)は、家のことをあまり話す人ではなかった。一家は夫婦と長男、次男の4人暮らしで、次男は独立している。ご主人は体格のいい人で、奥さんは小柄でした。家族の仲とかはまったくわからない。奥さんは家にいることが多くて、外出もほとんどしなかった」
なぜ20年以上たって自首したのか、殺害動機は何だったのか。物証なども乏しく、そのため自首から約1年後の逮捕になった事件。事実を知るのは小池容疑者だけだ。