6.洗うな危険!

 卵の色が茶色だったか白だったのか思い出せませんが、とにかく汚かったのはメキシコです。

 お店に積み上がった、土やら羽やら糞やらがこびりついた卵の山。

 鶏って、産道も糞道も呉越同舟だったんだなあって思い出させてくれる、ナチュラル感。

 欲を失うので洗ってから売ってほしいものですが、卵の水洗いは厳禁です。

 水洗いすると、逆に、サルモネラ菌が卵の中に入ってしまうのです。

 ちなみに日本の業者は、特別な液体で洗浄しています。

7.冷やすな危険!

 殻に水がつくと卵内にサルモネラ菌が入るということは、冷蔵庫も安心できません。

「卵が冷える→外に出して放置→水滴が付く→菌が侵入」というわけです。

 冷蔵庫から出したら、さっさとべましょう。

8.サルモネラ菌は焼いて食え!

 冷蔵庫の心配がないのは、ブルキナファソ。

 西アフリカの死ぬほど暑い貧乏国なので、住宅街の掘っ建て小屋商店には冷蔵庫なんてありません。

 卵を買ったら、熱っ!

 ゆで卵っ?ってくらいホット!

 気温は35度前後で、体感温度は40度。サルモネラ菌の繁殖しやすいのは37度なので、絶対に卵のなかで菌が増殖してます。間違いなく殺人級。

 これ以上ないくらいしっかり焼いた卵焼きは、よく噛まずに飲み込みました。

 サルモネラ菌を味わう余裕はなかったです。

 以上、卵の都市伝説とトリビアです。

 茶色い殻の有精卵で、黄身が濃いものを1日1個だけべて誰よりも健康になれば、立派なプラシーボ効果。

 新しい伝説の誕生です。


石澤義裕(いしざわ・よしひろ)◎デザイナー。1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。出版社勤務、デザイン事務所、編集プロダクションなど複数の会社経営の後、2005年4月より建築家の妻と夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。世界中の生の健康トレンド情報をビジネスライフで連載中。