チバニアン効果により、この数か月間で観光客がどっと押し寄せた市原市。が、「編集部にお土産でも」との思いもむなしく、いわゆる“チバニアン土産”を道中で見かけることはなかった。五井駅前観光案内所の職員が話す。
「例えば“チバニアンまんじゅう”みたいな観光土産が作れればいいのですが、現状は(商標が使えないので)やりたくともできない状況です。“ちば”など、一部だけ名前を変更したり、地層をイメージした土産や商品を販売しているところはあるようですが。観光の側面から見ましても、何とかチバニアン関連の商標が使用できればと思います」
そう、チバニアンが公になった一方で、やはりというか『チバニアン』商標を巡る動きが活発化。“先見”と言うのか、'16年に千葉県内の一般男性が出願した商標が、翌3月に認められてしまったのだ。
商標登録、権利は誰の手に
「昨年11月には、研究を進めてきた国立極地研究所の“論文や書籍に弊害が起こる”という申し立てにより、男性が所有していた《印刷物》の商標が特許庁により取り消されました。が、キーホルダーやおもちゃ、ほか飲食料品については登録されたまま。せっかくの“チバニアン”土産が作られないのが現状です」(前出・全国紙記者)
この一般男性のほかにも、個人、会社関係による出願が相次ぎ、《チバニアン》に関する出願は11件にのぼり、いずれも審査中だ。その中で目を引いたのが、昨年11月28日、12月1日に2回届け出ていた大手百貨店『三越伊勢丹』。
特に市原市とは縁もゆかりもないはずなのだが、食器類などの雑貨や洋服、またビールほか多種に対してチバニアンの使用を出願していたのだった。
ところが2月中旬、『特許情報プラットフォーム』から三越伊勢丹の名前が突然消える。チバニアン関連商品の発売をあきらめたのだろうか。
「小湊鉄道さまのほうに名義変更しておりますので、当社としては出願をやめています。とくに商品として開発をしようとしていた段階ではなく、その時は“何かできないか”という考えがございましたので登録したまでです」(株式会社三越伊勢丹ホールディングス広報)
確認すると、かつて同社が出願していた内容が名前を変えて、小湊鉄道株式会社に移り渡っている。これは、どういうことなのだろうか。