すべてを受ける必要はない
さらに検査に伴うX線による被ばくも心配だ。
「健康診断や人間ドックで考えてほしいことは被ばく量です。レントゲン、CT、PET、胃バリウム、マンモグラフィーなどは、放射線を人体に当てて検査を行うため、被ばくのリスクを伴います」
検査はメニューに含まれているからといって、すべてを受ける必要はない。
定期的に胃の内視鏡検査を行っている人は、バリウム検査を除くなど、被ばく量とほかで受ける検査との兼ね合いを考えることも大切だ。医療の進化にともない、検査技術の発展もめざましい。
植田さんが指摘する。
「医療機器メーカー、製薬会社、バイオメーカーなどの技術開発で検査技術は進歩し続けています。“痛くない、すぐ終わる”をキーワードに身体に負担のない方向へシフトしています」
ここ数年で導入する医療機関が増えてきたのは、小腸や大腸を調べる「カプセル内視鏡検査」。20~30mm程度の、やや大きめのカメラを搭載したカプセルを飲み込み、画像を撮影するという方法だ。
また、少量の唾液や血液、尿を採取するだけという「スクリーニング検査」も近年に続々登場している。
「ふるい分け検査といわれるもので、病気の疑いがある人を発見する検査です。レントゲンも、スクリーニング検査のひとつです。この検査で知っておいてほしいことは、あくまで“病気の可能性”を知るもの、ということです。例えば、がんを確定するには、病理検査などが必要になります」
血液でわかるスクリーニング検査は、脳梗塞や軽度認知症のリスクを評価する血液検査もあり、広がりをみせている。
植田美津恵さん◎医学博士・医学ジャーナリスト。首都医校(東京)教授。医学番組の監修、テレビコメンテーター、講演活動をこなす。著書に『忍者ダイエット』(サイドランチ)ほか多数