納豆は、値上げだ。
『おかめ納豆』のタカノフーズは、4月から5月にかけ、27年ぶりに出荷価格を引き上げる。同社広報が話す。
「大豆原料が高騰し、出荷価格に転嫁するしかありませんでした。10〜20円程度、小売価格にも反映されるかもしれませんが、スーパーさんでは本当に安く売っているところもあります。今後も、納豆を食べていただければ」
花見シーズンを直撃
主食のコメにも異変が起きているという。農協関係者が打ち明ける。
「3年連続で卸値が上がっている。昨年は天候不順で不作だったので、予想外の高値に動いた。今年も高値が続く」
高値の一因として加わるのが、コンビニ各社の“コメ争奪戦”だ。再び農協関係者。
「コンビニ各社は、よりよい食味のおにぎりや弁当のために、大量に定価で購入する。農家にとっても高い値段で定量を買ってくれるほうに売りたいのは当然。今年から減反が廃止され、再来年には供給が過剰になり価格も下落していく可能性がある」
しわ寄せは、外食産業などに及ぶ。牛丼チェーン店の『すき家』は昨年、値上げずみ。4月3日からは同『松屋』が一部商品を値上げする。パックご飯の各メーカーも、希望小売価格を引き上げた。
冷凍食品の製造販売を手がけるテーブルマークは、冷凍食品22商品で、3月出荷分から最大16%の出荷価格の値上げを決めた。
山崎製パンは、レーズンを使用した一部商品の出荷価格を値上げする。
「4商品で約12%の値上げ、3商品で内容量を減らします。レーズンの価格急騰を、内部吸収することができませんでした」(同社広報)
歓送迎会や花見シーズンを直撃するのは、業務用ビールだ。アサヒビールは3月1日出荷分から、キリンビール、サッポロビール、サントリーも4月1日出荷分より値上げ。大手居酒屋の『養老乃瀧』は4月より中・大ジョッキのビールを1杯20円引き上げる。
都内で飲食店を個人経営する男性は、恨めしげに嘆く。
「大手居酒屋はビールの価格を据え置いても薄利多売で乗り切ることができるかもしれないが、うちのような小さな店は値上げしないとキツい」
飲食店経営者にとっても家計をあずかる主婦にとっても、電気、ガス、水道の値上げは痛手だ。
全国の電力会社10社は、4月から一斉値上げに踏み切る。価格のからくりを、資源エネルギー論が専門の和光大学の岩間剛一教授が解説する。
「ガスや電気料金の価格は、3か月前の原油価格の影響を受けます。1月まで原油価格が高かったため、4月から5月にかけては、今年は値上がりします。4月以降は原油価格が下がる見通しで、6月からはガス・電気料金は下がる」