1988年4月に放送が開始されるも、わずか5か月で終わってしまったその番組の存在を、SMAPは国民的アイドルグループとなってもなお、そして永遠のように思えたフジテレビの一時代の勢いがいつからか失われていってもなお、変わらず覚えていた。そして感謝していた。
フジテレビの視聴率低迷がすでに周知のものとなっていた2014年にあえて”武器はテレビ”と名付けられた『FNS 27時間テレビ』、SMAPが総合司会を務めバラエティジャンルで同局年間3位の視聴率を獲得したそのフィナーレで、やはり香取慎吾はグループを代表してこう叫んでいた。
「フジテレビ、最高!」
そこには恩人であり盟友のフジテレビを心から称える笑顔があり、その笑顔は彼がSMAPであっても、SMAPではなくなった2018年の『おじゃMAP!!』最終回においても、何ら変わってはいなかったのだ。
やはり同じくSMAPをルーツに持つ中居正広のかつてのことばを借りれば、バラエティとは「終わらないことを目指して進みながら、ゴールがないところで終わらなければならない」「覚悟を必要とする」ジャンルである。
そしてその覚悟とは、フジテレビとSMAPがともに歩んだ長い時間にも通じるのではないか。『おじゃMAP!!』の香取慎吾のことばを聞いていると、そう感じた。
しかし歴史には終わりの後に、必ず始まりもある。
いつか双方がまた豊かな才能を発揮できるその時を、視聴者はきっとテレビの前で待っている。
乗田綾子(のりた・あやこ)◎フリーライター。1983年生まれ。筆名・小娘で、2012年にブログ『小娘のつれづれ』をスタートし、アイドルや音楽を中心に執筆。主な寄稿に『HELLO! PROJECT COMPLETE ALBUM BOOK』(CDジャーナルムック)等。その他、雑誌『CDジャーナル』『EX大衆』、ウェブメディア『マイナビニュース』『KAI-YOU』などで執筆。著書に『SMAPと、とあるファンの物語』(双葉社)がある。Twitter/ @drifter_2181