優秀な人材が集う場所

ーー誰でも良いわけではないんですね。

「もちろんですよ。ただ困っちゃうのは、うちに寺田体育の日という副総裁がいるんですけどね。多くの場合、彼がライブの出演オーディションを担当するんですけど、優秀な人物まで落としちゃうこともあって。それだけは勘弁してくれって言っているんですよ。

 たとえば、結成当初のラーメンズをオーディションで落としちゃったんです。副総裁に理由を聞いたら、“カッコつけているの嫌いなんすよ。しかも、ネタにラーメンが出てこないんすよね”って。昨年、番組で共演したときにそのことをラーメンズに謝りましたよ(笑)」

ーー副総裁も強烈な方なんですね……。大川興業はお笑いのやる気があれば来るもの拒まずというわけですか?

「そうです、そうです。だから、昔からほかの事務所で、あまり舞台に出られないヤツらがうちのライブに来ていました。

 たとえば、大学を中退してコンビを組んで間もない、くりぃむしちゅー。同じくコンビを組んですぐのころのキャイ~ンもそうだし。あとは、ダンディー坂野、ドランクドラゴンとかね」

ーー名前を聞くと、そうそうたるメンバーですね。

「くりぃむしちゅーのふたりがスゴいと思ったのは、どの芸人さんもうちの事務所が怖いからと所属は避けていたのに、彼らだけは土下座して“大川興業に入れてください!”と言って、お客さんを笑わせに来ていたもんな。

 彼らの場合は当時から売れるなって思いましたよ。営業努力がずば抜けていましたね。

 あとは、キャイ~ンのウドなんかライブに関係なく現場に来ていましたよ。何時間もずっと外で待っていて、警備の人が来て“外に変な青年が待ってます”って言うから、仕方なく出て行ったらウドが“総裁、ボク、お笑いやりたいんですよ”と言ってきて(笑)。

 で、彼がポカリスウェットを差し入れてくれるんだけど、俺が出てくるまでのあいだ何時間も持っていたから生温かいのよ(笑)。でも、とにかくお笑いをやりたい気持ちを伝えたかったんでしょうね」