初めて「憑依」を目撃した瞬間
その後『ものまね紅白歌合戦』で、たけしのマネをする松村邦洋とコンビを組んでネタをやることになったほい。そこで披露した『さんまのまんまにアウトレイジの番宣でくるたけしさん』というコントで初めて憑依というものを知ることとなる。
ほい「松村君は、台本通りにやるのは苦手な人で(笑)、本番中にアドリブを入れるんです。こちらもアドリブで会話をしましたが、彼と組んだことで臨機応変にやらなければならない状況に。
本来は、さんまさんの口調で“最近は映画監督をやっていて笑いをやらなさすぎ。なんか新しいギャグあるの?”とわたしが松村君に言って、彼がたけしさんの口調でギャグをやるという設定だったんですね。
でも、いざ本番になったら松村君は質問に対して“嫌だよ、恥ずかしいもん”って言って、一向にギャグやらないんですよ。
ところが、これがたけしさんそのもの。これが“憑依”っていうやつなんだな、と思いました。あとで、オンエア観たらそれはまぁ面白かった(笑)」
ーー松村さんとのアドリブで「憑依」を意識するようになったと思うのですが、普段はどんな研究をされていたのでしょうか?
ほい「基本的にさんまさんが出ている番組などはすべてチェックしていますね。
お見受けする限り、テレビのさんまさんはテンションが高く、相手のテンポに合わせている。逆にラジオのさんまさんのテンポとトーンはブレない。
自然体のさんまさんはラジオの中にいると思っています。それにラジオを聴いていると、ひとり語りがとてもお上手。何もないところから笑いを作り出すことができるのが、さんまさんなんだと思うんです。
だから、わたしはまるでスピードラーニングのように、さんまさんのラジオ番組を聞き流し続けました。そんなことをしているうちに、さんまさんと自分のなかで記憶の共有部分が作られてくるんです。
さんまさんのプライベートって実はほとんどなくて(笑)、というのも、そもそも起きているあいだはだいたいメディアに出演しているし、そこで多くのプライベート情報も話します。なので、発言をすべてチェックしていると自然と“さんま脳”が出来上がってくるんですよ」