それから約9か月たった今年5月3日夕方、近隣住民から「女の子の泣き声がする」との通報があって警察官が駆けつけ、容疑者のアパートで泣いていた女性を保護した。
県警浜田署は翌4日、未成年者誘拐の疑いで無職・佐々本薫容疑者(72)を逮捕した。
発見現場は、JR浜田駅から南西に約2キロの住宅街。被害女性の自宅から約100メートル、徒歩2分ほどのところに、容疑者が暮らすアパートがある。
「(容疑者が)ここに住んで10年くらいですかね。家賃の滞納やトラブルなどもなかったですよ。女の子が住んでいたってのは知らなかった」とアパートの家主。6畳ひと間風呂なしで家賃は2万円。
「誘拐したつもりはない」
丸刈りで色黒、がっちりした体格で自転車で釣りや山菜取りに出かけていたという。
「釣れたからって魚を持ってきてくれたりしてね。一見すると強面なんやけど、さっぱりしたいい人でしたよ」
と同じアパートに住む40代の女性は証言する。
昨年7月末ごろには、「静かにしろ」「言うことを聞け」と怒鳴る容疑者の声、「叩かないで、やめて、離して」と叫ぶ女性の声を聞いた同じアパートの住人がいた。
「翌朝会ったときに“おっちゃん、どうしたん?”って聞いたんですよ。すると“親戚の子を預かった。暴れて言うことを聞かんで困ってるんや。だからしつけをしとる”って」
いったんは静かになったが今年2月ごろからケンカのような音や女性の泣く声を再び聞くようになったという。