田中 普段の現場だとアドリブってすごい勇気がいるのでやらないし、やれない。ただこのドラマに関しては単発のときに、鋼太郎さんとのお芝居で台本ではわからないことが生まれてきて、それがすごく楽しかったんです。

 そういうことをやり切って演じることができ、今回もそういうものにしたいと思って、クランクイン前に遣都を食事に誘って、“いい意味で台本は無視してほしい”と伝えました。

 鋼太郎さんも現場の熱を大事にされる方で、3人でのシーンでもふたりのシーンでも何が起こるかまったくわからない。監督にしたらト書きどおりじゃないこともあるので、いい迷惑かもしれないですね(笑)。

吉田 そうだな(笑)。(アドリブは)なるべくリハーサルで見せておくようにしているけど、台本がいいからね。あくまでそれに沿って逸脱しないアドリブは、台本がいいからできることなので、台本がひどいとアドリブさえ出てこないからな。

田中 はい。

 単発を見てそういう空気を想像していました。

 何度か共演させていただいている鋼太郎さんとはアドリブの経験があるので、今回の喧嘩シーンは撮影がめちゃくちゃ楽しみでした。

 圭くんとは今回初共演ですが、鋼太郎さんと同じような人がいたな、と。(田中&吉田、大爆笑)。いつもの現場とはスタンスは違うけど、逆に準備していないとダメだと思うこともあるし、現場で生まれるものを大事にしたいと感じながら演じています。

根底にあるのは「純愛」

─これまでの恋愛ドラマとの違いは?

田中 男女でもいい話を男同士で演じているけど、人が人を好きになることに性別や年齢は関係ないと思います。

 単発は勢いでやっていたところはあったけど今回、連ドラでは人が人を好きになることに真剣に向き合って表現しようと思い、特にラブシーンは真剣に演じています。

 普段の生活で、男同士のキスを見ることはほぼないと思いますが、そういうことよりも登場人物たちの気持ちが勝っているから(視聴者にも)胸キュンを感じてもらえるのかもしれません。

 鋼太郎さんとのシーンは、僕は受けの芝居をしているだけで、鋼太郎さんに、このドラマの面白いところをすべて託しています(笑)。