子猫の死因はわかっていない。しかし、死体の一部をわざわざ切断して遺棄するのはむごい。動物ボランティアの女性は次のように語る。
「動物の赤ちゃんはみな可愛いものですが、なぜ可愛くできているかというと、ほかの動物から見ても可愛く見えるようになんです。食べられてしまわないように。だから、犬が猫の赤ちゃんを育てたり、逆に猫が犬の赤ちゃんを育てたりした例がある。そういった可愛いという感覚が欠落している人の犯行でしょうが、人格が壊れているとしか言いようがないですね」
腸が取り出され首に巻いてあった
同署は近隣の防犯カメラの映像を収集するなどして、何者かが子猫を殺したうえで切断して遺棄した可能性があるとみて、動物愛護管理法違反の疑いで精力的に捜査を続けている。同マンションの裏庭には猫の吐しゃ物のようなエサの痕跡が2か所残っており、16日には捜査員が再捜査している姿があった。
死体や遺棄現場にほとんど出血の痕跡がなかったことを踏まえると、死後、時間がたってから遺棄した可能性が高い。つまり、別の場所で虐殺したのち、死体を遺棄するために現場を訪れたことになる。
「深夜から明け方にかけて遺棄したようですから、車を所持している可能性が高い。18歳未満の犯行ではないのでしょう」(前出の店舗経営者)
この船橋市本中山の周辺では約1年の間に、類似する猫の残虐死体遺棄事件が相次いでいる。まず、昨年のちょうどこの時期、現場から約1~2キロの距離にある市川市高谷で、首のない猫の胴体が見つかっていた。
「ええ、昨年のいまごろですね。場所は特定できませんが、確かに高谷だと聞きました。何か晒しもののようにして遺棄されていたそうです」
と近所の動物病院の獣医師は記憶している。
さらに昨年7月28日早朝、同マンションから約1キロと近い市川市原木にある川沿いの駐車場で“猫の磔事件”が発生した。犬の散歩をしていて現場を目撃した70代男性がそのときの様子を振り返る。
「駐車場の鉄パイプの柵に成猫が磔にされていてね。おぞましくて、本当は思い出したくもないんだよ」
猫の手足は針金で大の字にくくりつけられていた。切り裂かれた腹部から腸が取り出され、首にぐるぐる巻きにしてあったという。