詐欺撃退アイテム、進化中 

  長野県長水防犯協会連合会は、詐欺撃退アイテム『詐欺バスター』を開発した。ボタンを押すと“家族に相談してからかけなおします”という声やパトカーのサイレン、ほら貝の音色などの12種類の音やメッセージが流れる。

 とっさのときにボタンを選ぶ必要はなく、相手のペースにのまれてなかなか電話が切れない高齢者は適当にエイッとボタンを押すだけでいい。

 一般社団法人『シニア消費者見守り倶楽部』(神奈川県相模原市)の岩田美奈子代表理事は、

「電話がかかってきたとき“この電話は録音されています”というメッセージが流れる機械の貸し出しなどを行っています。70~80代の利用者にアンケートを取ったところ、設置後は勧誘の電話などがかかってこなくなったと、100%の人が答えました」

 みーちゃんもランドセル(別売り)の中に警告音を流せる録音機を背負っている。

警視庁高井戸署はみーちゃんを寄贈した盛田氏(中央)らに感謝状を交付した
警視庁高井戸署はみーちゃんを寄贈した盛田氏(中央)らに感謝状を交付した
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 録音の効果については、立正大学心理学部の西田公昭教授も太鼓判を押す。

「犯人は録音されることを嫌がりますし『この電話は録音されています』という装置を導入していると、この家は防犯意識が高いぞ、とアピールにつながります」

 ただし、みーちゃんの機能については注文をつける。

「声かけそのものは悪くありませんが、単純すぎるのはよくない。単純な声かけの繰り返しは、すぐに風景と化してしまいます」(前出・西田教授)

 高齢者が集まる東京・巣鴨の地蔵通りでもみーちゃんについて聞いた。

「いつも詐欺について気にしているわけではないので、電話のたびに教えてくれるのはいいことだと思います」(80歳主婦)という声の一方、「自分のような男ひとりの家にぬいぐるみはいらない」(68歳男性)という声も。

 パートナーズの盛田愼二代表取締役はこうすすめる。

「ボタンもなし、シンプルであえてローテクで作っています。息子さんや娘さんが親にプレゼントすることが多い。安心のプレゼントです」