垢は口の中のカルシウムと結合して、みがきでは取りづらい硬い石を作ります。この段階で、科医師や科衛生士による垢や石の除去、正しい磨きを行えば元に戻ります。

歯根の奥にある汚れは歯ぐきを切開し取る
歯根の奥にある汚れは歯ぐきを切開し取る
すべての写真を見る

 しかし、進行すると周ポケット(ぐきの間の隙間)ができ、炎症はさらに広がっていく。そして深さ4ミリを超えると、周病と診断されます」

 ここまでくると、口臭がきつくなり、口の中がネバネバしての間に隙間ができるように。

「この状態になっても、周病であると本人は気がつかない場合がほとんど。さらに進行すると、口臭は一層強くなり、がぐらつき始めます。本来の位置から動いて並びが悪くなったり、ものをかめなくなったり、発音しづらくなります」

 やがての土台となっていた槽骨が溶け、は抜け落ちてしまう。

糖尿病や動脈硬化も引き起こす

 周病の影響はの状態悪化だけにとどまらない。

周病が進行すると、周病菌とその毒素が毛細血管に入り、血液中に流れ出して全身に回ります。また、糖尿病や動脈硬化、心臓血管疾患、肺炎に骨粗しょう症、早産などの疾患を引き起こしたり、悪化させたりします」

 特に、糖尿病とは密接な関係がある。

周病になると、そうでない人と比べて2・6倍も糖尿病になりやすいことがわかっています」

 糖尿病は血管障害、神経障害、網膜症、腎臓病などの合併症を引き起こし、生活レベルを著しく低下させることで知られている。そこへ加えて、“第6の合併症”と呼ばれているのが周病。

糖尿病にかかると免疫細胞の働きが弱まり、周病菌に対する抵抗力が弱まります。そのため周病にかかりやすくなるのです」