「家庭内シェルター」を設けるのが理想
一方、千葉のスロースリップ地震に限らず、今春以降の列島各地の地震発生状況をみると、安穏としてはいられないという。
「4月16~17日には紀伊半島南端で地震が連続し、6月に入るころから徳島県南部や紀伊水道を震源とする地震が続いています。太平洋側のフィリピン海プレートに押される陸側のユーラシアプレートが、いよいよその圧力に耐え切れなくなって悲鳴を上げ始めたんです。
政府は30年以内に南海トラフ地震が起きる確率を80%としていますが、その発生日には、今日も明日も含まれます。さらに対象エリアについても、西端をフィリピン、台湾まで、東端には首都圏まで含める広範囲なスーパー南海地震を警戒する必要があると考えています」(高橋教授)
余震の心配もある。そのとき、災害から身を守るにはどうすればいいのか。大阪北部地震では、屋外でブロック塀が倒壊し、屋内でタンスや本棚などが倒れて犠牲者が出た。
「小学校のブロック塀倒壊は人災ですよ。名古屋ではブロック塀のかわりに植栽で目隠しする防犯対策が進められており、補助金が出ます。税金を何に使うべきか再考したほうがいい。
タンスや本棚の倒壊被害を防ぐには、1部屋だけでも室内に危険な物を置かない“家庭内シェルター”を設けるのが理想です。エアコンの落下なども想定しておきましょう」(同教授)
災いは虚を突いてやってくる。万全な備えを──。
〈PROFILE〉
たかはし・まなぶ 立命館大学教授。1954年愛知県生まれ。環境考古学(環境史、土地開発史、災害史)が専門。著書『平野の環境考古学』(古今書院)など