マラリア流行地帯と非流行地帯では、O型の比率が大きく異なるという。
「流行地帯であるナイジェリアでは87%、スーダンでは62%、ケニアでは60%がO型です。逆に、非流行地帯では北欧のフィンランドで66%、スウェーデンは62%、スイスは60%が非O型。
そのため、“マラリアが地球規模での血液型分布を決めたのではないか”との仮説が提唱されているほどです」
血液型ごとに身体に合う食物がある
「前述のとおり、私たちが日ごろから食べている動物や植物にも血液型物質は存在します。牛はA型物質とB型物質の両方、豚はA型物質だけです」
と藤田名誉教授。植物の場合、ごぼうや白菜はO型物質、ぶどうや昆布などはAB型物質を持っている。A型物質を持つのはツバキやブナなど、B型物質を持つのはモチノキやニシキギなどだが、いずれも食用とは言えない。
「血液型によって合う食べ物・合わない食べ物は理論上、存在します。例えば(抗A抗体を持つ)B型の人が、(A型物質を持つ)豚肉を食べた場合。
豚肉のタンパク質をきちんと消化できていればまったく問題ありませんが、十分消化しきれず、大きなタンパク質のかたまりのまま身体に取り込んでしまった場合、アレルギー反応のような症状が起きても不思議ではありません」
最近は食物アレルギーを持つ人も増えている。
この背景について、藤田名誉教授は、
「最近の日本人は、食物を十分に消化できなくなってきているからです」
と、警鐘を鳴らす。血液型の特性を知って、今日から健康に役立てよう。
〈PROFILE〉
藤田紘一郎 教授◎医学博士 東京医科歯科大学医学部名誉教授。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。メディア出演、著書も多数
永田宏 教授◎理学修士、医学博士 長浜バイオ大学教授。医療情報システムの研究に従事したのち、鈴鹿医療科学大学教授を経て現職