砂川さんを気にかけていた意外な人物
一周忌法要で弔辞を読んだ毒蝮は、こう振り返る。
「そうとう苦しかったと思うよ。会うたびに体調が悪くなっていくんだから……。のぶ代さんが認知症になっても人には言えず、介護うつ、介護疲れで病気を併発して、それが原因で旅立ってしまった。介護はひとりで抱えちゃいけない。彼が身をもって教えてくれた教訓ですよ」
そう語る毒蝮は、闘病と介護に苦しむ砂川さんを気にかけていた意外な人物の名を口にした。
「'11年に亡くなった立川談志さんも、啓介のことはずいぶんと気にしていたのよ。啓介には俺が紹介したんだけどね。談志と会うたびに“啓介来ないの? 啓介を呼ぼうよ”とよく言われたよ。“啓介は爽やかな青年みたいでいいよね”っていつも言ってた。だから、談志もあの世で迎えて喜んでくれたんじゃないかな」
砂川さんの最愛の人であり、法要では喪主を務める予定だった大山だが、この日の一周忌も体調不良のために来ることができなかったという。
「彼女は来られなかったからね。代わりに、悔いのない介護をしてもらって本当に感謝しているだろうということを啓介に伝えたよ。彼は命と引き換えに介護をしたけれども、命懸けでやったことが俺たちのいい教訓だよ」(毒蝮)
砂川さんは、今も天国から最愛の妻を見守っているに違いない。