不安が募り、赤ちゃんにいったい何が起きているのかネットで検索して、流産の可能性が高いことを知る。1週間後、クリニックでエコー検査を受けると、主治医から「残念ながら、赤ちゃんの心拍がなくなっています」と、申し訳なさそうに言われた。
診断名は『稽留(けいりゅう)流産』(子宮内胎児死亡)。胎児や胎盤を排出する手術の日取りが決められたが、衝撃のためか、Kさんには当時の記憶があまりない。
心身の負担は大きくなるばかり
その年のクリスマスが手術の予定日だった。クリスマスイブは、小さなケーキを買ってきていたが、おなかの中ですでに死んでしまった赤ちゃんのことを考えると、お祝いする気になれなかった。
その晩、Kさんの体調はどんどん悪くなり、つわりのような吐き気と腹痛が続いていた。精神的におかしくなり、夫に日ごろの不満を爆発させ、しまいには泣き出した。
真夜中にトイレに入ると、大量出血とともに、大きな血のかたまりが出てきた。あわててそれを拾い上げ、きれいな缶にティッシュをしき、その上にそっと置いた。
それから1年がたち、Kさんは再び妊娠した。かかりつけのクリニックで診察を受けると、今度は最初から心拍が確認できなかった。1度目の流産で経験しているので、今回も自然に流れるのを待つことにした。
雑誌で「卵子の老化」という言葉を目にするたびに、“私のせいだな”と思った。“1人いるからいいじゃない”という励ましの言葉にも傷ついた。
「もっと早くから、卵子が老化するということを知っていたら、仕事に夢中になって、妊娠適齢期を逃すなんてこともなかったのかもしれません。今ごろ言ってもはじまりませんけどね」