今回、話を聞いた2人が気にしていたのは、いずれも“感覚”だった。

「先ほど話したとおり、今の年齢でも十分戦えるとは言えども、“全盛期”まで戻すことができるかどうかはわからないと思います。フィギュアスケートはたったの1日、1週間でも氷の上にのらないだけで、感覚が変わってしまうのですからね」(柴田さん)

 佐野さんも別の懸念があるようで、

「ショーでしか滑ってませんから“勝負感”は鈍っているかもしれません。半年や1年なら取り戻せるでしょうが、4年ともなると、試合前のドキドキ感や、追い詰められたときの緊張感を取り戻せるかどうかが、活躍のカギになりそうですね」

母親に話を聞く

 復帰について高橋は家族にどのように報告しているのだろうか。母・清登さんに話を聞くと、意外な答えが。

─復帰について、大輔さんとお話はされましたか?

「いえ、特段そういった話はしていなかったですね」

─大輔さんの引退後に、選手生活について後悔などは述べていたのでしょうか?

「いえ、そういったことも特になかったですよ。(大輔が)海外に行っていたときもそんな感じでしたから……。あんまり(スケートについて)話というか、そういうこともしないもので」

─1年間限定ということですが、どんな1年にしてほしいですか?

「自分で決めたことだから、やりきってほしいですね。好きに頑張ってほしいです。それだけですね」

─頑張ってほしいですね。

「ぜひ、応援してやってください!」

 昨年の全日本選手権を見て「自分のスケートを取り戻したい」と考えたという高橋。己との戦いに勝ち、今度こそ“納得のいく選手生活の終わり”を手にしてほしい。