「家で映画を観てる時、彼が突然『ビールを買ってくる』と言って出て行ったの。そして戻ってきたらプロポーズされたの。いきなり指輪を取り出してね。それもブロークンイングリッシュだった。驚いて思わず『ビールじゃないわよ、それ!』なんて言っちゃったのよ」
それから数カ月後には結婚。やや急ぎぎみだったのは、ちょうど洋平さんのビザの問題もあったからだ。結婚すれば迅速に、何よりも低予算でビザ問題も解決できるとふたりは考えていた。「急いで落ち着かないと時間がもったいないような気持ちがしたのね」。
まさかの展開で配偶者ビザをゲット
洋平さんの配偶者ビザに避けて通れない米国移民局での面接は、忘れられないほど厳しかった。多様性を極めた世界一の大都市でさえもふたりの結婚は疑わしかったのだ。
「洋平の英語もブロークンイングリッシュだったけど、審査官がジャマイカ出身の人だったのよ(笑)。独特のアクセントが強くて、私には理解できたけど洋平には難しかった。
途中から私に『何て言ってるの?』って日本語で聞いてくるし、審査官からも『ご主人の言っていることが本当にわかるんですか?』なんて言われた」
「結局問題を解決したのは、私が日本語で話したこと。審査官は私が日本語を話した瞬間“信じられない!”って顔をしていたわ。『あなた本当に日本語が話せるのですか』って聞かれたのよ。彼にとってはまるで犬が話しているみたいに見えたのかしらね(笑)」
「だから『ええ、もちろんよ! だから言ってんじゃない、私たちは夫婦のふりをしているわけじゃない、夫婦なのよ』って言ってやったわ。そしたらすぐにスタンプを押してくれたの。『オーケー!じゃお幸せに!』って」
彼女の話を聞きながら、この結婚によってそれぞれの家族との間にはどんな摩擦が起きたのかと考えたが、事実はまったく逆だった。
「私は本当にラッキーなのよ。日本人と結婚した外国人の悩みや悲しい体験談はたくさん聞いていたわ。でも私は一切、どんな非難も、まったく経験していないの」