沖縄では国土の0・6%という土地に、米軍専用施設の70%が集中している。
「その状況下で、米軍基地を県内でたらい回しにするのは負担軽減にならない。新しい基地は100年以上の耐用年数を持つと言われています。もう70年以上も負担してきたのに、さらに続くのかという県民の強い反発がある」
政府は辺野古沖で、8月にも埋め立て土砂投入の方針を明らかにしている。これを阻止するため、翁長雄志知事は埋め立て承認の撤回を表明。再び法廷闘争への展開が予想される。
2月の市長選で敗れたことから、市民が基地に賛成したかのように見る向きもあるが、「選挙では、辺野古の問題が争点からはずされた。決して市民が基地建設を容認したという結果ではない」と断ずる。
「米軍キャンプ・シュワブのゲート前抗議で頑張っている人には、お年寄りが非常に多い。戦争を体験してきた人たち、あるいは厳しく貧しい、米軍統治下にあって人間らしい生活ができなかった、忌まわしい過去を体験してきた人たちなんです。
沖縄で合い言葉のように言われてきたのが“自分の子どもを戦場に送らない”ということ。そうした思いが座り込みという行動に表れているんです」
埋め立て阻止のため緊迫感が増す辺野古と、かたや「報道が少なく、あまり実情を知られていない」本土。この温度差は沖縄への無関心、基地をめぐるデマや神話につながっていく。
「政府が(普天間基地の移設先として)“辺野古が唯一”というとき、抑止力と地理的優位性を大きな根拠にあげてきました。ところが森本敏元防衛大臣も、専門家も、軍事的に沖縄である必要はなく政治的判断でベストなんだと言う。実は米海兵隊の元トップでさえ、沖縄でなくてもかまわない、どこに置くかは政治の問題だと述べています」
県外移設では「本土の理解が得られない」と、安倍首相みずから政治的判断であることを認めている。