イスラエルとの境界で多発する抗議デモの様子(撮影/志葉玲)
イスラエルとの境界で多発する抗議デモの様子(撮影/志葉玲)
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 エルサレムは1967年にイスラエルの軍事力によって占領された都市であり、ここを大国アメリカがイスラエルの首都として認めることは、聖地を心の支えにするパレスチナの人々にとって耐え難い苦痛なのだ。

 難民が故郷に帰る権利、アメリカ大使館のエルサレム移転反対、そして、そもそも彼らの暮らしを極限状態に追いやっているイスラエル政府の封鎖政策への反対を訴えるデモは、パレスチナで「土地の日」として記念される3月30日から毎週金曜に続けられてきた。

 丸腰の市民たちは「イスラエル側からも見えるように」とタイヤを燃やして黒煙を上げ、イスラエルへの境界へと近づく。対するイスラエル軍は、安全対策からパレスチナ人たちが境界の外に出るのを防ぐために、催涙ガス弾、ゴム膜で包まれた弾、そして実弾で人々を攻撃している。

ガザの封鎖解除を求める抗議デモで負傷した女性(プライバシー保護のため一部編集しています)
ガザの封鎖解除を求める抗議デモで負傷した女性(プライバシー保護のため一部編集しています)

 この武力行使によって、6月末までに135人の市民が亡くなり、1万4000人以上が負傷している。そのうち7000人以上は病院に担ぎ込まれているが、その半数が実弾による負傷だ。

 数多くの負傷者が発生しているこの状況に、ガザ内部の病院はパンク状態だ。もとより11年続く封鎖の状況で患者たちには支払い能力がなく、資金は慢性的に不足している。

 電気も発電機の燃料も、医薬品も不足しており、医師や看護師は昼夜を問わず働き続けているという。医師や看護師の給料が出ないこともある。

 この状況に対し、日本にもオフィスを持つNGO『国境なき医師団』からは、ガザの医療現場に日本人の外科医と看護師が派遣されていた。

 今年6月6日に東京で開かれた記者会見では、銃創の治療が間に合わず脚を切断しなければならないこともある悲惨な医療現場の状況に触れ、「武装していない人を実弾で撃つ、これだけ大勢の人が短期間に負傷することは、人道的にしてはいけない行為です」と医師らがコメントしている。