シガーバーも兼ねているため、飲食店での禁煙の動きには、やはり否定的だ。
「正直なところ、あまり歓迎はできませんね(笑)。お酒とタバコのマリアージュを楽しむお店ですので。店内でタバコを吸うのが完全にダメとなったら、圧倒的に売り上げは落ちると思いますし、お店の経営も難しくなる懸念があります」
周囲の飲食店も相次いで禁煙に。喫煙者の駆け込み寺のような存在にもなっている。
「ここ麻布十番では食事ができるお店は、ほぼ禁煙になってきているんです。バーは一服しにきているお客様も多いので、そこを取り上げないでほしいです」
吸わない人が納得することが大切
喫煙者と非喫煙者。分煙が進むいま、どこで折り合いをつけるべきなのか?
「新しい分煙社会では、吸わない人が納得することが大切です」
と、須田さんは提案。
「東京だけではなく、千葉市など自治体によっては受動喫煙防止に関する条例を制定する動きが見られるため、都市部では吸う側の意識が高くなってきています。しかし、地方や特に60代以上の高齢者は、子どものときから当たり前に喫煙環境があったわけですから、この分煙の流れについていけてない人も多いんです。まだそのあたりの意識が低いため、どう変えていくかが問題だと言えます」
日本たばこ産業(JT)が発表した2018年『全国たばこ喫煙率調査』によると、喫煙率は2017年の調査に比べ、男性で0・4%減(20万人減)、女性で0・3%減(17万人減)となり、推計で1880万人(男性1406万人、女性474万人)という結果に。
全体では減少傾向だが、20代、30代、60代の男性で喫煙率が横ばいもしくは上昇している。JTは今回の調査から、加熱式タバコも対象にするという文言を入れたのも一因と言えるだろう。
「JTが飲食店の喫煙・非喫煙エリアを想定した『加熱式たばこ使用時の粉じん濃度調査』を実施したところ、非喫煙エリアで加熱式タバコを使用した場合、タバコ不使用時と粉じん濃度がほぼ変わらないという結果が出ました。
加熱式タバコは火を使わず、紙巻きタバコと比べて煙やニオイがほとんどないことから、若者を中心にユーザーが急増しています。愛煙家の方は、TPOに合わせて使い分けるのもいいのではないでしょうか」(須田さん)
新たな製品が生まれ、それをどう位置づけていくのかはこれからの課題のひとつ。
吸う人と吸わない人がマナーを守って暮らせば、分煙を取り巻く流れは、さらに心地よいものになってゆくのかもしれないーー。
(取材・文/加藤麻江)
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