気温上昇の原因には地球の温暖化があげられるという。
「日本は世界より早いペースで気温が上昇しています。それは日本が地球温暖化による気温の上昇率が、比較的大きい北半球の中緯度に位置しているためと考えられます」
気温だけではなく、湿度の上昇も危険をはらむ。熱中症リスクを算出する国際基準『暑さ指数』では、湿度・気温・日差しのうち、リスク要因の7割は湿度と考えられている。身体の体感温度も、湿度が高いと実際の気温より暑く感じられる。つまり、同じ気温であっても、湿度が高いほど熱中症になるリスクも増すというわけだ。
台風も猛威をふるう
さらに、ゲリラ豪雨や台風による水害も増加している。
「7月の台風上陸は珍しいことではありませんが、近年は勢力の強い台風が上陸する可能性が高くなっています。9月になると日本付近に出現する秋雨前線を台風が刺激して大雨をもたらすので、強い台風は9月にくるというイメージがあるかもしれませんが、温暖化の影響で7月に上陸する台風も強力になってきているのです」
“命にかかわる危険な暑さ”も予想されるなかでのオリンピック開催について、
「『暑さ指数』は年0・4℃の割合で上昇していて、このままだと2020年には“運動は原則中止”を呼びかける『危険レベル』となるので、やらないほうがいいです。
竸技開始の前倒しや『サマータイム』の導入案も出ていますが、早朝でも28℃を超える日があるので、熱中症対策になるかは疑問。日差しが強くないのは大きいですが、高温多湿で暑さ指数がすでに警戒域に入っている日もあるので、その中で運動するのはかなり厳しいと思います」
暑さ対策ひとつをとっても不安な2020東京五輪。無事に開催できるのだろうかーー。
〈識者PROFILE〉
中川祐子さん
フリーアナウンサー、気象予報士。NHK国際放送局の英語ニュース番組で世界の天気の原稿作成・解説を行う気象アドバイザーも務める