できないことは「できない」と言う
オーディションでこの大役をつかんだ3年前は、ミュージカル俳優として上り坂を駆け上り始めた時期。
「まだまだ、坂道に到達していたかも疑わしいですけど(笑)。あのときは、同い年のトム・サザーランドの誰とも違う感性にすごく刺激を受けました。初演ではトムがやりたくても僕が表現しきれなかったところもあると思うので、今回はトムが伝えたい『タイタニック』を日本で見せたいですね。3年間で経験したことがどれだけ見せられるか、再会するのが本当に楽しみです」
稽古場では共演者から慕われ、先輩からかわいがられることでも定評がある。
「僕はヘンに気も遣えないから思ったことを素直にしか言えないですし、まじめに向き合うことしかできない。共演者の方々には、そういうところで何かを感じていただければいいなと思うだけなんです。
でも、できないことを“できない”と言える人間でありたいとも思っています。無理してやれるふりをしても、後で恥をかいて周りに迷惑をかけるだけなので。でも“できない”で終わらせず、挑戦はしていきます」
そうしたごまかさない実直さも、アンドリュースと似ているのでは?
「そうですね、アンドリュースは曲がったことが嫌いなので、“スピードを上げろ”と言うオーナーに対しても“そんなことはできません”とはっきり言うんですよね。
タイタニックのことは誰より知っているというプライドもあるので“あなたが持ち主かもしれないけど、作ったのは私ですから”と。そういう融通のきかなさは似ているかもしれないですね(笑)」