三谷幸喜さんとの出会い
三谷幸喜さんとの出会いは、三谷さんからの「突然のラブコール」によるものだったという。
「三谷さんが舞台の楽屋にコンコンって訪ねて来られて。“新納さん、僕と一緒にお芝居をしましょう”と言われ、翌日にオファーをいただきました。どこを気に入ってくれたのか、1度聞いたんですよ。
そうしたら“姿勢がいい役者が僕は好きです”というのと、“悲しみを抱えた人が好きなんです”と。“えっ、僕!?”ってビックリでした(笑)。
でも三谷さんは“自分では気づいてないかもしれないけど、新納さんは悲しみの塊ですよ”って。
本当に自覚はないんですけど、ほかの演出家にもそう言われたことがあるんですよ!」
生きる意味とは
本作は“生きるとは何か”を問うヒューマンドラマだけれど、新納さんにとって“生きる意味”とは?
「この作品にちなんでよく聞かれるんですけど“みんなそんなこと考えながら生きてるの?”って思ってしまう(笑)。そんなことを考えずに生きていてもいいんじゃないかな。
別に歴史に名を残そうとか生きた証がほしいなんて思っていませんし。ただ、僕が死んで何年かして、どこかのおばあちゃんが孫に“昔、新納慎也っていういい役者がいてね、好きだったわ”って語ってくれたらうれしいですね」
■ミュージカル『生きる』
1952年に公開された黒澤明監督の代表作『生きる』をミュージカル化。作曲と編曲を手がけるのはブロードウェイで活躍するジェイソン・ハウランド、演出は宮本亜門。惰性で仕事をするだけ、死んだように生きていた市役所の市民課長・渡辺(市村正親/鹿賀丈史(Wキャスト))は、当時、難病だった胃がんにかかったことで、これまでの無為な人生と向き合う。そして市民のための公園作り実現に尽力、生きる意味を見いだしていく。10月8日~28日 TBS赤坂ACTシアターにて上演。
公式サイトは http://www.ikiru-musical.com
(文/若林ゆり)