理由は韓国民の理解が得られないため、財団が正常に機能しないからというが、それは詭弁だろう。

 確かに「和解・癒やし財団」の理事の辞任劇など内部の混乱もあったようだが、前述したように元慰安婦の7割が見舞金を受給済みだ。これを阻止しようとするのは、日韓両国を分断する慰安婦問題を永続化させようという意図がうかがえる。

 振り返ると、1995年に創設された「女性のためのアジア平和国民基金」が元慰安婦に「償い金」や「内閣総理大臣によるお詫びの手紙」を支給しようとしたが、これらを受け取った元慰安婦たちが支援団体から強く弾劾されたことがある。

そうした団体は反日をあおることを目的としているが、いわば「慰安婦問題」や「歴史認識問題」を“ビジネスモデル”として展開しているため問題の根が深い。

あえて竹島に上陸、敵愾心を丸出しに

 日韓に横たわるのは慰安婦問題ばかりではない。

 韓国国会の教育委員会は10月10日、李燦烈教育委員長ら10名余りが国政監査のために10月22日に竹島に上陸することを発表した。

 今回の竹島上陸は政府関係者として2012年8月10日に初めて上陸した李明博大統領(当時)から数えて12例目に当たる。文大統領も2016年7月に上陸した。

 李委員長らは韓国教育部と反日で知られる東北アジア歴史財団から日本の教科書問題などについて説明を受けた後で竹島に向かう予定で、その政治的な意図は見え見えだ。

 ちなみに韓国教員団体総連合会は10月25日を「独島の日」とし、その前後1週間を「独島週間」に指定。全国的な運動に発展させるための竹島アピールに余念がないが、この時期の竹島上陸はこうした運動に乗じようとするものだろう。

 これに対して日本政府は早速、東京で長尾成敏北東アジア第一課長から呉盛鐸在京韓国大使館参事官に対し、ソウルで水嶋光一在韓国日本国大使館総括公使から金容吉韓国外交部東北アジア局長に対し、さらに北京で田村政美アジア大洋州局参事官から崔鳳圭外交部東北アジア局審議官に抗議し、計画の中止を求めた。

 これに対して李委員長が所属する「正しい未来党」(野党第2党)は「日本は独島の草、石、ひとつもむやみに触ることはできない」と過剰に反応。

「あきれる日本の反応は後にして堂々と独島を訪問し、当然すべきわれわれの領土考証を実施して守備隊の激励活動を展開する」と敵愾心を丸出しにしている。