ところで平木さん、広辞苑についてちょっと謎が。新しい版は、前回の版よりも1万語、140ページも増えているのに厚さは変わっていない。一体どうして?
「さらに薄い紙を開発して、しかもちゃんとめくりやすく、紙の裏の文字が透けて見えない品質は保っています。製本機械の限界である8センチに収まるようにしています」
編集もすごいけれど。紙や、印刷、製本技術もすごいってわけ。では、閑話休題。
その時代時代を彩っているのが、お笑い芸人たちの発した言葉。一部だけでも「聞いてないよォ」「だっちゅーの」「なんでだろ~」「ワイルドだろぉ」「ダメよ~ダメダメ」などがパッと思い出せる。
ただ、この言葉はすぐに忘れ去られ、また芸人も言葉だけで一発当てると、人気は持続しないというジンクスがある。
「それでもトップテンに上がり、また大賞になった言葉は、子どもから大人にまで認知された、それだけ勢いがあった言葉です。人気の持続とは関係ないと思います。その人の実力次第では……(笑)」(自由国民社・大塚陽子さん)
一方、消えなさそうなのが29連勝で注目された藤井聡太四段。
今では七段になり最年少新人王に。オセロでは11歳の福地啓介クンが世界チャンピオンに。彼らが新しい時代を担っていくだろう。そして私たちは次の時代をどんな言葉で表し、どんな新しい言葉が生まれてくるのだろう。
平木靖成さん 岩波書店 辞典編集部副部 辞書編集者歴が20年を超え、広辞苑第五版から今年1月に刊行された第七版まで携わり、すでに(10年後に刊行されるであろう)第八版の準備に取りかかっている。
清水 均さん 自由国民社「現代用語の基礎知識」シニアディレクター 『新語流行語大賞』は今年で35回目を迎え、「年々注目されています。時代が閉塞しているからこそ、流行語が求められているのでしょうか」
大塚陽子さん 自由国民社「現代用語の基礎知識」編集長 「よい言葉だから、あるいは問題のある言葉だからという視点ではなく、その言葉が流行って多くの人に使われていれば、どういう言葉でも流行語大賞にノミネートします」