功さんはコンクリートブロックを作る職人で、その長男で未貴容疑者の父親がホームセンターを開いたという。
父親は商工会議所の役員を務めるなど熱心に活動していたと地元の人は口をそろえる。
「自営業で商工会もあったから、忙しかったと思うよ。未貴ちゃんがおじいちゃんの面倒を見ていて、そこに甘えちゃったんじゃないかな。私も介護をしていたけれど、あのつらさは介護をした人にしかわからない。追い詰められていったんだと思うよ」
と近隣の50代の主婦は容疑者の立場を推察する。
「認否については“殺すつもりで刺した”と認めている」
と前出・捜査関係者。一部報道では「刑務所に入りたかった」という趣旨の供述をしているという。
その心理を前出・出口教授は、こう分析する。
「刑務所に入りたいと口にする人はいるが、実際に刑務所入りを望んでいる人はほぼいない。言葉にすればそうなるかもしれないが、本音は、現実社会が嫌になり自分を隔離させたいということなんです。現実を断ち切れれば海外移住でもなんでもいいが、現実味がない。
犯罪行為というのはいちばん現実社会から自分を切り離しやすい方法なんです。犯行後10分で自首していることから、現実社会から自分を切り離したい思いが強かったのだと思いますよ」
萩川容疑者は何から逃げ出したかったのか。あの日から、ホームセンターの明かりは消えたままだ……。