「家族にたくさん仕送りができると思ったのに」
パワハラに耐えかねて自殺を図った実習生もいる。
「ニホンが大嫌いになりました」
涙を流しながら語るのは中国人の史健華さん(35)。昨年8月に飛び降り自殺を図り、一命はとりとめたものの腰など3か所を骨折。今もリハビリに通っている。
「私は一生懸命働きました。でも差別やいじめがあり“中国人だから”と馬鹿にされパワハラで身も心も壊した。豊かな日本に行けば家族にたくさん仕送りができると思ったのに」
史さんは夫と子どもを祖国に残して'15年1月に来日。静岡県富士市の製紙工場で働いた。朝8時から深夜12時まで働いて手取りはわずか月10万円。午後6時以降の残業代は時給300円だった。静岡県の最低賃金は同858円。確信犯的な低賃金労働だった。
「聞いていたお給料と全然違いました」
渡航前は、1か月の手取りは20万円と聞いていた。中国の送り出し機関に約60万円の借金をしており、切羽詰まった状況に追い込まれた。
「このまま中国に帰ることもできない、何かを訴えたくても日本語でうまく表現できない」
絶望感にとらわれた史さんは昨年8月、仕事中、発作的に会社のビルから飛び降り自殺を図った。