宅配便業者を語る詐欺が急増
今年7月半ばころから、佐川急便になりきりショートメールをスマホに送りつけるフィッシング詐欺が急増した。
佐川急便の広報担当者は、
「私たちは、不在通知をお客様のショートメールに送ることはありません。メールで送る場合はありますが、弊社のサイトにあらかじめ登録している会員のみ。そこでも再配達の希望日時などを聞くだけで、個人情報を聞くことはありません」
同業のヤマト運輸の広報担当者も、
「宅配便業者はお客様と接点が多いので、偽メールに利用されたと考えられます。私たちもショートメールや添付ファイルのついたメールを送ることはありません。添付ファイルを開くとウイルスに感染するおそれがあり、実際に被害も報告されています。絶対に開かないでください」
と呼びかける。
以前は日本語の使い方がおかしかったり、一発で偽物と見破ることができた偽サイトだが、
「本物っぽい、と信じ込ませるために詐欺犯は、さまざまな工夫を凝らしています」
そう明かすのはLINEの担当者だ。続けて、
「本物のサイトの登録画面やサービス画面のデザインをコピーすることも、フィッシング詐欺犯にとって難しいことではありません。そのため見た目だけで完全に見極めるのは難しいです。私たちはサービスに関する重要な連絡は公式アプリやSNSでも提示をしているのがほとんどです。怪しいと思ったら、公式アプリなどで確認してください」
対策する企業側と、新たなだましテクを駆使するフィッシング詐欺犯とのいたちごっこ。時間、場所を問わず本物っぽいショートメール、SNSが送りつけられるが、
「ネット上に悪意があふれていることを意識してほしい」
と、大前提を呼びかけるのは、ITジャーナリストの三上洋氏だ。そのうえで、
「文面をすぐに信用しないことです。“怖い”と思うかもしれませんが、まずは冷静に内容をチェックしましょう。送り主が知り合いでも相手のスマホが乗っ取られている可能性もあるので、まずは文面を注意して読んでください。
クレジットカードの番号を聞かれたら、それは不正アクセスを疑ったほうがいいかもしれない。
最近は、高齢者でもスマホを持つ人が増えています。ネットに慣れておらず、若い世代に比べると経験が少ないのでだまされやすい。それに男性に比べ、女性のほうがそういうメールやサイトでも真面目に対応してしまいがちです」