そうした精神的負担はもちろん、肉体的負担もあります。不規則な仕事だから体調管理が大変だし、体力の限界もある。アイドルとして売っていれば、年齢による衰えも恐怖になりますよね。すぐに「劣化した」なんて言われてしまうから。
そして一番辛いのは、家族から理解が得られなかったときですよね。
私自身も芸能人をやっていて痛感するのはここです。私のように表現が過激だったりすると、「そうまでして意見を言わないといけないの?」などと理解されないときもありますし、あるいは家族を巻き込んでしまわないかという不安も常にあります。
すべてをオールマイティーにこなす必要性
ジャニーズは、とくにSMAP以降、アイドルという枠に留まらず、タレントになることが求められていますよね。この“オールマイティさを求められるようになった”ということも、ストレスの大きな要因だと思います。
いままでは歌ったり踊ったりといったアイドル活動がメインだったけど、俳優をやったり、芸人に近い立ち位置でバラエティに出たり、さらにはキャスターとしてニュースに出ることもあるわけで。なかには苦手な分野だってあるだろうし、すべてをオールマイティにこなすには、努力もいるし大変だろうなと。
同時にこれは日本の芸能界特有の問題なんだけど、海外にはそもそも“タレント”という職業はないんですね。例えば、空港の入国審査で職業を聞かれて「タレント」と答えたところで通じない。
映画俳優は映画だけ、ドラマ俳優はドラマにしか出ないといったように、能力を発揮する場所が絞られていることが多いんです。“タレンティッドな人”といった使い方をする場合はあるけど、才能のある人ってイメージで使うだけ。あちらのスターは、しっかり分業されていて、分野の垣根を越えていろんなことをやっている人はほとんどいないんですね。
この“タレント”という立ち位置、日本の芸能界特有の、幅広い活動が求められるという点も、精神的にキツいところに陥りやすい一因なんじゃないかと思います。
<構成・文/岸沙織>