開示命令を受けた「爆サイ」掲示板で立ち上がったスレッド
開示命令を受けた「爆サイ」掲示板で立ち上がったスレッド
【写真】集められた“いじめの証拠”ほか

 発信者情報を特定するステップはこう。

 まずは、掲示板の管理人に対して、IPアドレス(ネット上の住所のようなもの)の開示を求める。掲示板の管理人に直接請求するが、レンタルサーバーの場合は、管理者だけでなく、そのレンタル事業者へも請求できる。

 被害生徒の名前が書き込まれた『爆サイ』の場合は、管理者の情報は公開されていない。そのため、問い合わせフォームから連絡することになる。

 管理者が応じない場合は裁判所を通じて、開示請求を行う。開示されれば、そのIPアドレスから通信事業者(携帯電話事業者やインターネット接続事業者)が判明する。

 その通信事業者に対して、さらにIPアドレスを割り当てられた契約者の情報(名前や住所など)の開示を求める。開示に応じない場合は提訴する。裁判所の開示命令が確定すれば、情報が開示され、個人が特定できる。

 判決では、

(1)スレッドのタイトルに学校名が書かれており、本文中にも実名や本人と簡単に連想できるニックネームが書かれていたこと

(2)このいじめの件は17年9月に新聞で報道されていたが、実名は掲載されていないこと

(3)記事が掲示板にコピペされていたが、その中の投稿で、実名が載せられていたこと

 などを認めた。

 その上で、この行為は「第三者が取得ないし、開示する行為は、本人が認める場合、受忍限度の範囲と言える場合などでない限り、プライバシーを侵害する」と、判断した。そして、通信事業者3社に対して、発信者情報を開示するように命じた。その後、通信事業者が開示し、個人名がはっきりした。

 被害生徒の母親は、

「書き込みは嘘ばかりで、嘘が広められたら、息子にどんな影響を与えるかわかりません。自転車に乗っていたことなど日常的な行動まで書き込まれていました。怖いです」  

 と話す。裁判までしたのは子どもを守るためだ。