かつて、芸能人と言えば“雲の上の存在”。そう簡単には近づけず、ファンは遠くから応援するものという意識が強かった。
しかし最近のアイドルグループは、AKBに代表されるように“会いに行ける”と称され、頻繁に握手会が催されるなど、ファンとの距離がかなり近くなっている。
その分、エスカレートするファンから身を守るため、事務所もセキュリティには万全を期そうと努力している。
たとえば、都内で活動している人気アイドルは、マスコミに追われることも多いので、対策は十分取られている。その多くはマネージャーが車で送迎するし、送迎時の警戒も半端ではなく、週刊誌記者やファンなどが追跡している車をすぐに察知して、簡単に振り切ってしまう。運転テクニックもかなりのものだ。
しかし、地方都市ではそこまで対策できないのが現状だろう。もしアイドルの移動が送迎バスであれば、車両も見つけやすく、そもそも地方都市のような狭い範囲だと追跡は簡単だ。さらに、複数のメンバーが同じところに住んでしまえば、今回のようなトラブルも生まれかねない。
“即全国区のご当地アイドル”というアイデアは素晴らしかったが、そこには意外な落とし穴が隠れていたようだ。マネジメントとは、タレントを売り出すことだけではなく、守ることも含まれるはずだがーー。
<芸能ジャーナリスト・佐々木博之>
◎元フライデー記者。現在も週刊誌等で取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。