気になるのは新元号。

「元号は政令ですから閣議で決めます。天皇が初めて新元号を目にするのは閣議で決定した元号の政令書に署名されるときです。これはあまりにも失礼です。

 また、情報システムの関係で次の元号を新天皇即位前に今の陛下がご署名して公布することになりました。システムが大事なら、今後もお代替わりはありますのでこの機会に官公庁の文書を西暦でも元号でもどちらでもいいとすべきですね」

皇位継承だけではない、皇室が抱える問題

 皇位継承順位をめぐっても実は、大きな問題を抱えていると山下さんは言う。

「退位特例法の付帯決議で、政府は女性宮家の創設等について検討し、結果を国会に報告することになっています。皇位継承に関する議論が始まったのは平成17年、小泉内閣のときです。それから14年経過していますが、何も変わっていません。検討だけはしていますが、結論は出せない状況がずっと続いています。

 また、現在58歳の皇太子殿下が天皇になられて、陛下と同じ85歳で退位されるとすると、皇嗣の秋篠宮殿下は79歳か80歳。高齢の天皇が高齢の皇嗣に譲位することになります。それでいいのか、という議論も出てくるでしょう

 女性・女系天皇、女性宮家についても、また同様に議論がある。

「皇位継承や皇族の減少の問題は、喫緊の課題だといわれ続けていますが、いまのところ即位、大嘗祭が終わるまでは議論を控えようという雰囲気ですね」

 皇室には1000年以上続く伝統がある。それを守りながら新たな時代に沿った活動も求められている。


《PROFILE》
山下晋司さん ◎皇室ジャーナリスト。宮内庁で23年間勤務した後、『皇室手帖』の編集長などを務めた。現在は各メディアで解説を行う