80代だからこそチャンスがある
運良く迎えた80代。今後はどう生きていきたいか。
「もうイヤなことはしたくない。つまらない人には会わない。好きなことだけやって、いいとこどりで生きます。80まで来たご褒美だもの。
遊行期は一般的には“人生の締めくくり、知識を世間に返していく”時期らしいですけど、私はそんな殊勝なことは考えません。だって遊行は“遊びに行く”と書くでしょう。“大いに遊びなさい”の意味だと解釈してます。
昔は“80代なんて、死ぬちょっと前”という感じで、この年で何をやるかなんて、あまり語られてこなかった。でも今は普通に生きちゃう人が多いから、80代をどう生きるかという研究は面白いと思う。すごくやりがいがあるわね。
私は70歳になった時“林住期はもう十分楽しみました。これからはエンジンを再始動し、もう一働きします”と宣言して自宅を開放し、大人の寺子屋『森羅塾』を開いたの。たくさん講師と受講生が集まって、70代でも人間力が上がるのを実感しました。
70代でそうだから、80代はもっと自由だと思う。年をとるって、案外いいものよ。現役時代のようなしがらみがなくなって、いろんなチャンスが巡ってくるんです。
こう言うと、“そりゃあなたは健康だから”なんて思われそうですが、私は大病こそ経験していないけど、昔からお転婆で、乗馬中に落馬して腕を折ったり、怪我なら数え切れないほど。
老化だって避けられず、腰は痛むわ、目はかすむわ、記憶力も衰え……(苦笑)。年相応の不自由はありますよ。
でもね、だからこそ、あえて“80代が楽しみ!”と言うべきだと思うの。この年になったら、みじめったらしくしない。みすぼらしくしちゃダメ。見栄を張って、胸を張って、上を向いて歩こう! その気持ちが大事なんです」
(取材・文/西出真由美)