妻にDV、娘を恫喝

 心愛さんは沖縄県出身。小学校1年から3年の7月まで、母親の実家がある沖縄県糸満市の市立小学校に通っていた。そのころから一家は『要支援家庭』として行政の支援対象になっていた。

栗原容疑者ら家族が利用していた沖縄ナンバーの車が駐車場に残されていた
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 糸満市の担当者の話。

「2017年7月上旬に、心愛さんの母親が“夫にDVを受けている。心愛も恫喝を受けている”と親族に打ち明けたそうです。親族が市役所に相談して発覚しました」

 母親(妻)へのDVの内容は、およそすべてが含まれるモンスター級。精神的には“バカ”“お前は何もできない”と暴言を吐かれる。身体的には殴られる。経済的には貯蓄や生活費を厳しく管理される。社会的には行動の監視、ケータイの履歴をチェックしたり、妻が友人や両親と会うことを禁止したりする。

 さらに市は、心愛さんが通っていた小学校とも連携し、調査をするも虐待の痕跡は確認できなかったという。

「上の子の話をすると避けられる可能性があるため、低体重児で誕生した下の子の支援を通して、母子の様子を確認しました」と前出・担当者。

 家庭訪問の約束をとりつけたが、容疑者側の都合で延期され実現しなかった。

「一緒に(夫の出身地の)千葉で暮らすことになったと言っていました」(同担当者)

 糸満市は、転入先の野田市に対し、『不安定な状態のリスク家庭』と申し送りをした。

 その具体的内容は、

「夫が妻を支配、友人家族と連絡なく、メールを削除させられるなどの生活が日常的。妻へのDVや娘への恫喝があった。夫婦のパワーバランスが懸念される、というものです」(前出・担当者)

 糸満市の支援は、この段階で終了した。

 '17年9月、心愛さんは千葉県野田市立山崎小学校に転校する。同校の教頭の話。

「積極的な児童で、授業中も自分から挙手する。礼儀正しく、言葉遣いもしっかりしている。お友達にも優しく慕われていました。衣服が汚れていることもなく、“あのアンケート”以前には虐待を感じさせることはなかったです」

 “あのアンケート”とは、学校が児童に実施したいじめに関するアンケートのこと。