naoとの出会い
「高校卒業後、すぐに上京して、アルバイトとボイストレーニングの日々を送っていました。両親は私の音楽活動に反対で、半ば家出のような形で実家を飛び出したんです。そんな事情から、仕事関係の人から“〇〇やってみない?”とオファーがあっても、未成年だから親の承諾が必要で、結局お話自体がなくなることが多くて。
そのあと、親の承諾がいらない二十歳になった日の午前0時に、レコード会社や歌手を随時募集している音楽雑誌宛のデモテープを一気に投函しました。2か所のポストがパンパンになりましたね(笑)。その結果、naoさんが声をかけてくださって現在に至ります」
デモテープを聴いたnaoは、ericaのどんな部分に魅力を感じたのだろうか。
「粗削りではあったのですが、とにかく“声”がよかったんです。歌い方はテクニックで何とかなりますが“声量”は持って生まれた部分が大きい。
そのあと、実際に彼女に会ってみると、人懐っこくて飾らない性格だと思いましたし、“等身大”だというところも彼女の魅力だと感じました。プロデュースという意味では“半径2メートル以内”という描写をイメージしながら、“共感型アーティスト”の方向性を目指しました」(nao)
二十歳でnaoと出会ったものの、彼女の歌手人生には下積み時代も。
「デビューしたのが、naoさんと出会ってから5年後でした。それまでは路上ライブをやったり、自分でデモテープをライブハウスに送ったり。作詞と作曲の仕方もわからなかったので、デビューまでの5年間はいろいろなことを学ぶ勉強期間でした。同世代の歌手よりもデビューが遅かったので“追いつかなくちゃ”と、常に焦りもありましたね」(erica)
そんな下積み時代を乗り越えデビューし、彼女の“転機”となったのが、YouTubeで2800万回再生を突破した『あなたへ贈る歌』だった。
「今でこそ恋愛ソングばかり歌っていますが、路上ライブの時代は、人生をテーマにした歌ばかりだったんです。でも、1曲だけ恋をテーマにした曲をYouTubeにアップしたところ、ブログなどで今までにない反響をいただいて。
そこである日、いただいたコメントに対して“私はシンガーソングライターなんだから”と思って、曲でお返事するようにしました。お返事用にいちばん最初に作った曲が『あなたへ贈る歌』だったんです。
そうしたら、どんどん口コミで広まっていって。ほかのお悩み相談コメントに対しても恋愛ソングで返していたら、気づけば私の曲は恋愛ソングばかりになっていて、そういったテーマの曲ばかり作るようになりましたね」
今では“告うた”というワードが認知されるほど、若者女子に絶大な人気を誇るerica。ゆえに“恋愛のカリスマ”と見られがちな彼女だが、本人の“恋愛遍歴”は意外にも……。