署内で呼ばれるときは「125番」。母親が何度か衣類などを差し入れに訪れた。単独房だったため衣食住の衣と住は問題なかったが、「正直まずいです」と吐き捨てるように振り返るのは食事だった。
「署内で作っているお弁当を出され冷えたごはんと、おかずは脂っこい魚のフライなど。野菜が恋しかった。味つけも塩っけのないものでした」
その結果、体重は7キロ減。それでも母親は、疑いが晴れてホッとした様子だった。
逮捕時の週刊女性の取材に「事件を起こすような人ではない」と話していた飲食店従業員は、
「心配しましたが、釈放後に“お騒がせしました”と挨拶に来てくださり、事件を説明してくれました」と話す。
留置場に面会に訪れたという友人男性は、
「北浦さんは“冤罪だから”と言い、私もそうなんだろうと思っていました。物知りで話が面白いので子どもたちにも人気がありましたし、学校の目の前の店でへんなことをするはずがないでしょう」
と釈放に納得していた。
アニメオタクでコスプレ衣装が置かれ、44歳の独身、というワードがストーリーに組み込まれ、犯人に仕立て上げられてしまった冤罪事件。駄菓子屋を営む一方で、パソコン教室や、スマホ教室を無料でやっていた北浦さんだが、
「子どもたちに関わるのはもう嫌です」と語気を強めた。
「お小遣いをもらえない子にお手伝いを頼んで駄菓子をあげたり、家庭や学校の話を聞いてあげたり、陰で友達の悪口を言うのをたしなめたりと充実した時間もありました。地域貢献できていると思っていましたが、逮捕されてまで続けようとは思えない。
私は小学生を性的な目で見たことなどありません。あの日の衣装をつまむのだって親指と人さし指だけ使い、身体には一切触っていません。弁護士が“被害に遭った人が声を上げにくくなる”と言うので、被害者側を訴えることは考えていませんが、もう、子どもたちとの関わりは勘弁です」
釈放されて真っ先にしたのは、店内の駄菓子をすべて捨てることだった。